相続税の手続期限と、手続遅れのペナルティは?

相続税の基本的な手続期限についてまとめてみましょう。

 

まず、大原則として、「相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月」という定めがあります。

 

10ヶ月も期間があるとなると、時間的にも余裕があるように見えますが、実際の所は四十九日が終わった後から動き始める必要があります。

(本当は、四十九日前から動いても問題はないのですが、年配の方や伝統を重んじる方は、「四十九日も終わっていないのにお金の話をするとはけしからん!」という人もいる可能性は考えた方がよいでしょう。)

 

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相続税の準備は、四十九日が過ぎたら早めに始める

先ほども書いたとおり、相続税の手続は想定以上に時間がかかることが多いです。

 

なぜなら、書類の郵便による往復や各種調査、手続などで、10ヶ月(実質8ヶ月と10日)というのはあっという間に過ぎるからです。

 

また、相続税の申告と同時に、相続税の納付も行う必要があります。

 

これも法定期限は相続税申告と同じ10ヶ月で、相続税を納付しなければならない場合は、相続税の資金準備も必要になります。

 

加えて、相続税の延滞については、最初の2ヶ月は2.6%の延滞税、それを超えると8.9%の、かなり高い利率の加算税がかかります。

 

さらに、過少申告の場合は過少申告加算税が10%~15%、無申告加算税は15%~20%(申告期限内に申告をせず、その後納税者が自主申告をした場合は5%)がかかります。

 

さらに重いのは、「重加算税」で、申告書を提出したが、財産を隠していたり、事実を偽装した場合に35%、申告書を提出せず、財産を隠蔽した場合は40%の税金が課され、特に金額が大きい・悪質な場合は「刑事告発」という形で、逮捕・在宅起訴されたり、裁判に発展する可能性があります。(新聞沙汰になる可能性もあります)

 

このようなデメリットを考えると、相続財産の申告は、専門家に依頼して、正直に行うことが大変重要です。

 

相続税の延納や分割納付などについても、基本的に税理士を通して、税務署に「支払いたいがこのような事情で今すぐの工面はできない、少し待って欲しい」など相談することで、税務署もある程度は配慮してくれる可能性が出てきます。

 

一番問題なのが、対応しない、無視するなどの行動です。

 

国も誠実に申告・納税を行おうとする人に対しては丁寧に対応してくれますが、不誠実な対応・納税回避の姿勢を取るなどすると、非常に厳しい対応を取られる恐れが高まります。

 

納税だけでなく、国・地方自治体相手のことは何ごとも正直に対応するのが一番です。

 

おそらくバレないだろう、ということはなく、国は様々な調査権限を持っていますので、「バレないだろう」は通用しないと考えた方がよいでしょう。

 

税理士の先輩の話でも、「国は様々なお金の動きを把握しているし、何か大きな収入・支出があると、すぐお尋ねが来るくらい、様々なことを把握しているから、正直が一番だよ」という話をされます。

 

また、条件は厳しい場合もありますが、金銭での納付がどうしても難しい場合は、「物納」という方法もあります。

 

お金の代わりに土地家屋を納める、という方法で、必ずしも全てのケースで認められる訳ではありません。

 

金銭でできるだけ納付しようとしたけど、どうしても難しいという場合に、物納という条件を呑んでくれる可能性もありますが、これに関しても個人から依頼するより税理士に依頼した方がスムースと言えます。

 

このように、相続税申告は、時間があるように見えて、実はやることが多く、税金も一緒に納めないといけない、複雑な手続なのです。

 

ですので、四十九日が過ぎたら、ある程度の財産がある家庭は、税理士に相談し、相続対策の準備を先手先手で進めていくことをおすすめします。