相続対策としてよく聞く「暦年贈与(生前贈与)」って?

相続に関する書籍や本を見ると、「暦年贈与」という方法で、相続税を節税できる可能性があることがかかれていることがあります。

 

この暦年贈与に関して、基本的な点をおさえてみましょう。

 

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相続税の負担を減らす、暦年贈与(生前贈与)とは?

税金には様々な種類のものがあるのはご存じかと思いますが、個人間でのお金のやり取りかかるもので「贈与税」というのが存在します。

 

贈与税は、1年1人110万円という基礎控除が存在します。

 

基本的に、1人がもらう金額が110万円までなら、贈与税はかからない仕組みになっています。

 

最近では、110万ジャストだと意図的に見えるので、90万~100万円近くの財産を毎年移すという人もいると聞きます。

 

ただ、単純に90万円~110万円ずつ、子どもなどに財産を移転していけばいいかというと、必ずしもそれがベストとは限りません。

 

これはぜひ専門家に相談いただいた上で検討して欲しい話ですが、「贈与の節税分岐点」という話があります。

 

一定割合までは、110万円の枠を超えても贈与し、贈与税を支払った方がいいというケースも存在します。

 

他にも、税金のことを考えるとそもそも贈与をしない方がいいケースというのも、ないとは言い切れません。

 

本人の財産、年齢、家族構成、親族の有無など様々な要素で、「贈与をこれくらい行うと良い」「この場合は贈与を行わない方がよい」などかわります。

 

そして、相続がいつ発生するか、つまり本人がいつ亡くなるのか、というのは、誰にもわかりません。

 

年を重ねると、相続発生の可能性は高まることはわかるかと思いますが、現代では80代どころか90代、100歳代でも元気な高齢者というのも少なくありません。

 

癌などの病気で、余命がはっきりしているなど特別なケースを除き、相続はいつ発生するかわからないというスタンスで臨んだ方が良いと言えます。

 

贈与した事実は残そう

生前贈与を行った場合、「贈与事実の証明」というのがポイントになります。

 

きちんと贈与しましたよという証明ですが、世間一般の考えだと、「子ども名義にして、毎年110万円預金しておけばいいんじゃないか」という考えが出がちです。

 

しかし、名義だけでは「本当に本人のものか」という客観的な証明はできないのです。

 

意外とあるエピソードで、12歳のころから10年間、110万円ずつ子どもの名義で預金をした、それを解約したところ、税務当局から「これは1,100万円の贈与ではないですか」と指摘され、贈与税を支払う事になった、というケースも伝え聞きます。

 

こういう贈与の問題に関しては、自分自身が本を見ながら、見よう見まねでやるより、税理士に相談し、「どのようにすれば贈与として認められるか」「相続財産から考えて、いくらの額を贈与するのが節税になるか」など、相続全体の視点から、暦年贈与・生前贈与を行うかを判断した方がよいでしょう。

 

特に、贈与をしたという証明については、必要な要素に欠けがあると無効になる可能性もゼロではありません。

 

税理士に相談した上で、このような文書や方式で、このように贈与したという証明を行い、きちんと後々まで書面で残しておくことが、トラブルを防ぐために有効です。

 

生前贈与として税務署に認めてもらうためには、他にも留意すべき点が複数あります。

全てをあげると切りが無いですが、確実に言えるのは、贈与額が年間110万円を超える時は、必ず贈与税の申告が必要になると言うことです。

 

贈与に限らず、節税テクニックを使う場合は、税理士と相談しながらの方が確実です。

 

当然、相談料や税理士報酬はかかりますが、不適切な申告で発生するペナルティ・損失や信用失墜、その他様々なトラブルを考えると、最初から専門家に相談しておくことが確実と言えます。