相続した土地を売却する方法と相続税の計算方法

保有意思や使用用途がないため、相続した土地を売却して手続きを進めるケースもあります。
相続した土地の売却も通常の不動産売却と同様、一定の手続きを踏まなければなりません。

相続した土地の売却は、以下の流れに沿って手続きを進めていきます。

 

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相続した土地を売却する方法

土地の相続登記手続きを済ませる

 相続した土地に限らず、不動産を売却する際、その名義が売主になっていなければなりません。
そのため、相続した土地を売却する前提として、相続登記の手続きを済ませておく必要があります。

 

一般的な相続登記であれば、手続き完了までそれほど時間がかからないため、相続した土地の売却に支障が出る可能性はほとんどないでしょう。
しかし、相続人が多数いる場合や相続関係が複雑である場合などは、手続き完了まで長い時間を要するケースもあります。

 

それにより、相続した土地の売却手続きをなかなか始められないこともあります。

 

不動産仲介業者の選択

相続した土地を売却する場合、不動産仲介業者に手続きを依頼するのが通常です。
不動産仲介業者と一口にいっても、各業者によって取り扱う物件の種類や得意分野が異なります。

 

不動産仲介業者の得意分野や業務内容と相続した土地の内容を加味しながら、依頼先を選択することになります。

 

契約・残代金決済・土地の引渡

不動産仲介業者に相続した土地の売却手続きを依頼すると、営業担当者が買主を探すための販売活動を行ないます。

 

営業担当者の販売活動により、相続した土地の購入希望者が見つかった場合、売買の条件交渉を行ないます。

 

売買の内容や条件に双方が合意した場合、契約を締結するのが通常です。
契約の際には、買主が売主に対して手付金の支払いをします。

 

売買契約締結から一定期間経過後、残代金決済と土地の引渡を行ない、この手続きが済めば相続した土地の売却が完了します。

 

確定申告手続き

相続した土地を売却して利益が出た場合、原則として譲渡所得税が課税されます。
その場合は、売却した年度の翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告の手続きをした上で納税をしなければなりません。

 

相続税の計算方法

土地の相続手続きをする際、被相続人の保有財産の額によっては、相続税が課税されるケースもあります。

 

相続税の課税対象となった場合、その金額を計算した上で申告と納税をしなければなりません。
そのため、相続税の計算方法についても把握しておくことが大切です。

 

相続税の計算は、以下の手順で行います。

 

課税遺産総額を算出する

相続税を計算するためには、最初に課税遺産総額を算出する必要があります
それには、まず以下の計算式で純資産価額を算出しなければなりません。

 

「相続、遺贈による取得財産額+みなし相続財産額-非課税財産額+相続時精算課税制度による贈与額-債務および葬式費用の額=純資産価額」

 

純資産価額に相続開始前3年以内にされた贈与財産額を加算すれば、課税価額の合計額が算出できます。

 

そして、課税価額の合計額から基礎控除額(3000万円+「600万円+法定相続人の数」)を差し引くと、課税遺産総額が求められます。

 

相続税の総額を算出する

課税遺産総額を算出後、相続税の総額を計算します。
相続税の総額は、課税遺産総額を相続人間で法定相続分により分割したと想定した上で算出します。

 

たとえば、課税遺産総額が5000万円で、相続人が被相続人の子Aと子Bの2名だったとしましょう。
この場合、AとBの法定相続人は各2分の1ずつとなるため、分割により2500万円ずつ取得したものとします。

 

相続税の総額の基となる税額を求める際、その金額が2500万円である場合、15%の税率を乗じた後、控除額の50万円を差し引きます。

 

上記のとおりに計算すると、その金額は325万円です。
したがって、相続税の総額は、325万円×2=650万円となります。

 

各相続人の納税額を算出する

相続税の総額を算出後、各相続人の納税額を計算します。
各相続人の納税額は、相続税の総額に各相続人の実際の相続財産取得割合を乗じて計算します。

 

たとえば、上記の例において、Aが5分の4、Bが5分の1の割合で相続財産を取得したとしましょう。
この場合、Aの納税額は「650万円×5分の4=520万円」、Bの納税額は「650万円×5分の1=130万円」となるのが原則です。

 

ただ、相続関係や状況により、相続人が各種控除の対象となったり、税額加算の対象となったりするケースもあります。
そのような場合、上記の算出額より納税額が少なくなったり、多くなったりします。