遺留分侵害額請求の手続きと大まかな費用

遺留分侵害額請求の手続きの概要と大まかな費用を見ていきましょう。 

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遺留分侵害額請求の手続きと大まかな費用

遺留分侵害額請求の方式

遺留分侵害額請求は口頭でおこなうことができます。
ただし、口頭で相手に伝えても、何ら証拠が残りませんので、書面によるのが好ましく、内容証明郵便などを利用すると良いでしょう。

また、遺留分侵害額請求の相手が任意に支払ってくれるとは限らず、そのような場合は、遺留分侵害額請求の調停を利用することができます。
遺留分侵害額請求の調停が整わない場合、審判へと進んでいきます。

なお、令和元年7月1日より前の相続の場合、遺留分減殺請求により物件返還請求の調停を利用します。

なお、遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内、または、相続開始の時から10年以内に行使しなければなりません。

 

遺留分侵害額請求に掛かる費用

遺留分侵害額請求にかかる費用は、家庭裁判所や市区町村に払う費用と、専門家への報酬です。

 

公的機関に支払う費用

まずかかるのは、内容証明郵便の費用です。
調停を利用する場合は、遺留分侵害額請求の調停にかかる費用と戸籍謄本などの取得費用がかかります。

参考:内容証明郵便、遺留分侵害額請求の調停の申し立て費用

  支払先 費用
内容証明郵便 家庭裁判所 郵便の基本料に内容証明料などが加算され、書留
遺留分侵害額請求の調停 郵便局 ・収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認要)



弁護士などに依頼する費用

遺留分侵害額請求を専門家に依頼する場合、次の方法が考えられ、それぞれに費用がかかります。

  • 遺留分侵害額請求の内容証明郵便のみ作成してもらう
  • 遺留分侵害額請求調停の申立書を作成してもらう(不随する戸籍謄本を取り寄せてもらう)
  • 内容証明郵便の作成と送付、遺留分侵害額請求調停への移行などすべて依頼する

内容証明郵便の作成と送付、相手との交渉や遺留分侵害額請求調停への出席など、すべてを行えるのは弁護士だけなので注意しましょう。
行政書士、司法書士はそれぞれ業務範囲があるので、報酬が安くても解決まで面倒を見てもらえるわけではありません。
報酬だけでなく、それぞれの専門家に頼める内容を事前に確認してください。

 

遺留分侵害額請求は弁護士に相談するのがおすすめな理由

ここまでで、遺留分侵害額請求の相手や、手続きがわかりましたが、自分で遺留分侵害額請求ができるか、弁護士に相談するほうが良いか、悩むのではないでしょうか。


遺留分侵害額請求をするなら、弁護士に相談するのがおすすめな理由を確認します。

 

遺留分算定の基礎を計算してもらえる

前述のように、遺留分算定の基礎の計算は、意外と面倒な場合もあります。
債務や複数の不動産がある場合は、計算が大変です。
遺留分算定の基礎を計算する前提として、相続財産を全て洗い出さなければなりません。

 

また、生前贈与は、遺留分侵害額請求の対象となるかどうか確定が難しいこともあります。
弁護士に依頼すれば、相続財産の確定から遺留分算定の基礎の計算まで任せることができるので、心強いでしょう。

相手と代理で交渉してもらえる

遺留分を侵害する生前贈与や遺言がある場合、遺留分権利者と受贈者や受遺者の関係性が悪化していることもあります。
見知らぬ他人が遺留分侵害額請求の相手かもしれません。

気まずい相手とシビアな交渉を自分でおこなうのは、大きなストレスです。


客観的に交渉をおこない、優位に運んでくれる弁護士に依頼することをおすすめします。

手続きや裁判が心強い

遺留分侵害額請求の内容証明郵便は、形式だけ本で調べて自分で書くと、何か間違いがあるかもしれません。
また、遺留分侵害額請求の調停になったとき、家庭裁判所という慣れない場所で相手と話し合わなければなりません。

 

これら、遺留分侵害額請求の内容証明郵便作成や、遺留分侵害額請求の調停での交渉すべて、弁護士なら引き受けてくれます
非常に心強いのではないでしょうか。

 

まとめ

数回にわたって遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い、遺留分侵害額請求の方法などを見てきました。

 

遺留分を侵害する生前贈与や、遺言そのものは有効です。
しかし、金銭的にも心情的にも、相続人として権利を主張したいと思う方もいるでしょう。


その際はスムーズに交渉が進むようにするためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

 

遺留分侵害額請求を受けてしまった人も、弁護士に相談してみてください。
冷静な話し合いをおこなってもらえるので、精神的・時間的な負担を軽減することができます。