遺贈をするまでの流れ・手続の内容を解説

遺言書を書かなくても財産を引き継いでもらうことはできます。法定相続人が承継することになるからです。しかしこの場合、民法で相続人と認められた人物にしか財産が渡りません。


そこで、その他第三者にも財産を与えたいのでれば、「遺贈」を行う必要があります。この記事では、その方法、流れについて解説をしていきます。

 

まずは専門家に相談

形式的な要件ではありませんが、適切に遺贈を行うには、専門家への相談がおすすめされます。弁護士や司法書士、行政書士、税理士などから一度アドバイスを受けておくと良いです。

 

遺言書はどうやって作成するのか、どのような内容を記載すべきか、節税の観点からはどのような形で遺言を行うのがベストか、いろんな助言を受けておくと将来的なトラブルも避けやすくなります

 

遺言書を作成する

遺贈は、遺言書を使った財産譲渡の方法です。

 

そのため遺贈をするには遺言書を作成しなければなりません。

 

そして遺言書は、遺言者本人の好きなように記載をすれば良いのですが、最低限、民法で定められているルールには従わなければなりません。


例えばもっとも代表的な遺言書である「自筆証書遺言」では、全文の自書が要件とされています。パソコンやプリンターを使って作成した遺言書だと無効にされるおそれがあります。

 

その他「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」と呼ばれる遺言書もありますが、この場合には公証役場にアポを取り、公証人や証人とともに作成を進めていくことになります。費用がかかる分、特に前者に関しては法的に無効となるリスクを下げることができます。

 

遺言書作成は非常に重要な過程ですので、慎重に進めていくようにしましょう。

 

作成した遺言書の保管

自筆証書遺言や秘密証書遺言として作成をした場合、基本的にはご自身で保管をしないといけません。いつ始まるかわからない相続に備え、長期間大事に保管をします。

 

紛失や改ざん、盗難が起こらないよう厳重に保管しつつも、相続開始後にはその存在が見つからなければ意味がありません。

 

そこで自筆証書遺言の場合には、法務局での保管を求めて手続を行うことが推奨されます。これにより安全性を担保できます。


公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されますので、保管に関する心配をする必要はありません。

 

相続の開始と遺贈の実行

相続の開始後、相続人らは遺言書の存在につき確認を取ります。遺言書がないのなら遺産分割協議で遺産の取得分を決めます。


遺言書がある場合にはその内容に拘束され、遺言者の意思が反映されます。

 

そして遺贈が実行され、指定した人物に財産が渡ります。
遺言書にて、「遺言執行者」と呼ばれる遺贈を行うことを職務とする人物を指定しておくとスムーズです。