法令に従い適式に遺言書を作成できていれば、遺贈をするという目的自体は果たすことができます。しかし遺贈のやり方次第では、親族間あるいはその他関係者間で争いが生じる可能性があります。
そのため遺言者は事前にそのリスクを認識し、トラブルを避けるような形で遺言書を作成することが大事です。ここでそのポイントを紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
相続人から不満が出ないか考える
遺贈をすると、遺言者と特別の繋がりを持っていた人物に遺産を分け与えることができます。相続人になれなくても、例えば孫や友人などであっても遺産をあげることができます。
ただ、その一方で相続人の取り分が減っていることにも目を向けなくてはなりません。
遺贈をすることに理解がある相続人ばかりなら良いですが、遺産の取得に過度な期待を持っている人物がいるとトラブルに発展するリスクが高まります。
そのため、受遺者と相続人とのバランスに大きな偏りが生じないように配慮しましょう。
事前に推定相続人と話し合っておいて、遺贈をすることにつき了承を得ておくのが一番無難です。
それが難しい場合でも、遺産の大半を持っていくような遺贈としていなければ揉めずに済むかもしれません。
残された家族の生活を考える
一家の大黒柱が亡くなると、その家族は生活に困ってしまいます。唯一の頼りとなるのが遺産です。
にもかかわらずその遺産がすべて第三者に渡ってしまうと、生活がままならなくなってしまいます。
「遺留分」と呼ばれる一定割合に関しては、亡くなった方の配偶者・子・親などは受遺者に請求することができるのですが、別途請求をしなければ回収することができません。
遺留分の請求により受遺者と揉める可能性もありますし、遺留分だけで生活を支えるのが難しいケースもあります。
そのため、遺言書を作成する際には、自分を頼りに生活している家族のことにも目を向けることが大切です。
遺言執行者を置く
「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実現することを職務とする人物のことです。
この人物を指定しておくことで、遺贈がスムーズになり、管理不足による遺産の散逸も防ぎやすくなります。
専門家に相談して遺贈方法を考えること
法律に精通していない方だけで対応するのは難しいです。
そもそも遺言書を正しい形で作成するだけでも大変な作業です。
その上でトラブルを防ぐために様々な事情を考慮しなければなりませんので、できれば法律の専門家に相談し、アドバイスを得ましょう。
現状を伝え、そのケースにおいてありがちなトラブルの事例を聞き、それを防ぐにはどのような手段が有効なのか、と対策を練っていきましょう。