生前贈与は相続税対策としてメジャーな手法です。計画性を持って取り組めば、大きな節税効果が得られるでしょう。
どのような理屈で節税ができるのか、具体的にどうやって生前贈与をするのか、そして注意点についてもここで紹介します。
なぜ生前贈与で節税できるのか
相続税の課税を受けるのは、主に相続財産です。
他にも遺言書の効果として与えられる財産、本来の相続財産ではないものの実質的に同じものとして取り扱われるみなし相続財産なども課税対象です。
つまり、亡くなった被相続人が資産家であるほど相続税の負担は大きくのしかかってくるということになります。
もちろん、相続税の額が大きいということはそれだけ大きな経済的利益を受けているということですので単純に相続人が損をするわけではありません。
ただ、相続した財産が現金ではなく不動産などの現物である場合は、それを売却するなどしなければ納税資金の負担が相続人にかかってきます。
一方、先に贈与をしておけば、相続財産はその分少なくなります。贈与を前もってしていなくても相続によって家族等に受け取ってもらうことは可能ですが、前渡しによって相続税の課税を回避できるのです。
生前贈与はどうやって行うのか
生前贈与は贈与契約に基づく行為です。そこで当事者間の合意が必要となります。
一方的に与えるのではなく相手方の意見も聴く必要があります。そして当然ながら、合意なく財産を譲渡してもらうこともできません。
どちらの目線からしても、相手方の意思表示が必要なのです。
遺言書であればこのような契約は不要です。遺言者の一方的な行為として財産を与えることができます。
節税の観点からいえば、贈与税の負担が小さくなるように生前贈与を行うことが大事といえます。
特別な控除、特例などを駆使して生前贈与を行うことが大事になってきます。
生前贈与をするために知っておくべき注意点
生前贈与をする前に知っておくべき注意点の1つ目は「贈与税と相続税のバランスを考えること」です。
相続税が回避できてもそれ以上の贈与税がかかったのでは、節税効果はゼロです。そのため単純に「相続財産を減らせば節税できる」と考えてはいけません。税理士に依頼してシミュレーションしてもらい、その結果をもとに検討を進めていくべきです。
また、「相続開始直前にした贈与は相続税の課税対象」であることにも注意が必要です。生前贈与加算と呼ばれるルールで、生前贈与として取得した財産でも相続開始前7年以内にされた贈与であるときは相続税の課税対象になります。
そこで、死期を悟った段階で急いで生前贈与をしても節税効果を得ることはできません。