相続税の課税対象になる財産・ならない財産

亡くなった人の財産を相続すると、相続した人には相続税がかかります。

 

相続税の負担は非常に大きなものとなるため、生前からその対策を行う方も大勢います。


ただ、実際にどのような財産に相続税が課され、あるいはどのような財産には相続税が課されないのかを詳しくは知らないと思います。

 

そこで、相続税の課税対象になる財産とならない財産について解説していきます。

 

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相続税の課税対象となる財産

まずは、相続税の課税対象となる財産について解説します。
あらゆる財産が課税対象となりますが、相続税独自の考え方があるため注意が必要です。

 

現金・預貯金

預貯金は、銀行や郵便局などの金融機関に預け入れているお金です。

普通預金や定期預金などの種類がありますが、その種類に関係なく、すべての預貯金の残高が相続財産となります。

 

相続財産として課税されるのを避けるため、預貯金の一部を引き出しておくという人がいます。

 

しかし、預貯金から引き出しても、それは現金に形を変えただけであり、相続税の課税対象となります

そのほか、いわゆるタンス預金と呼ばれる現金も相続財産として課税対象となるものです。

 

株式・投資信託・公社債

証券会社で購入した株式を保有していた場合、その株式は相続財産となります。

 

また、投資信託や公社債などの債権を保有していることも少なくありませんが、これらもすべて相続財産となります。

 

また、自身が中小企業の経営者である場合などは、経営する会社の株式を保有していると考えられます。

このような非上場株式も相続財産となるため、相続税評価額の計算を行い、相続税の計算に含めます。

 

不動産

被相続人が保有していた土地や建物などの不動産は相続財産となるため、相続税の課税対象となります。

 

また、他人の土地を借りて建物を建てた場合などは、保有している建物だけでなく、土地を借りる権利を借地権として評価します。

 

死亡保険金・死亡退職金

死亡保険金を保険会社から受け取ったとしても、その保険金は相続財産ではありません。
ただ、亡くなったことで受取人に金銭の授受が発生するため、相続財産とみなして相続税の課税対象となります

 

死亡して退職したことを理由に支払われる退職金も、死亡保険金と同じく、厳密にいえば相続財産ではありません。

 

ただ、死亡したために発生すること、相続人が受け取るものであることから、相続税の課税対象に含まれます。

 

貸付金・未収金

他人にお金を貸していてまだ返してもらっていない場合、その貸付金が相続財産となります。

また、社会保険料の還付金や配当金の未収分などの金額がある場合は、その未収となっている金額が相続財産となります。

 

自動車

亡くなった人が保有していた自動車がある場合は、その自動車が相続財産となります。

 

その他の財産

ゴルフ会員権、金地金、絵画や骨董品などの美術品も相続財産となります。

 

また、家具や家電などの家庭用財産を一式として相続財産の額に含めることが、実務上は多くなっています。

 

亡くなる前3年以内に行った贈与

亡くなる前3年以内に贈与された財産については、相続財産の額に含めることとされています。

また、その財産を贈与した際に発生した贈与税については、相続税の額から控除することとされています。

 

名義預金

例えば親が子供の名前で作った預金口座は、形式的には相続財産でなくても、実際は亡くなった人の財産とみなされます。

 

このような預金口座を名義預金といい、亡くなった人の相続財産として相続税の課税対象となります。

 

相続税の課税対象とならない財産

ほとんどの財産は相続財産となりますが、被相続人が保有していた財産の中でも、相続税の課税対象にならないものがあります。

非課税財産と呼ばれるものには、以下のようなものがあります。

 

墓地、仏壇、仏具、神棚など

相続財産となるはずの現金を使って、お墓や仏壇・仏具などを購入すれば、相続税の節税につながる可能性があります。

 

ただし、購入した仏壇や仏具に骨董的な価値や貴金属としての価値など、投資目的と考えられる場合は非課税になりません

 

死亡保険金のうち非課税枠内の金額

受け取った死亡保険金のうち、500万円×法定相続人の数で計算される金額は、相続税の課税対象にはなりません。

 

今回は、相続税の課税対象になる財産・ならない財産について見ていきました。

次回は相続税の計算方法をご紹介できればと思いますので、お楽しみに。

特殊な形状・状況の土地の相続税評価額と節税方法

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前回の記事では相続税の土地評価方法と計算方法について解説をしました。

 

今回は、特殊な形状・状況の土地の相続税評価額と、相続税の節税方法について見ていきたいと思います。

特殊な形状・状況の土地は補正が加わる

路線価方式で土地の相続税評価額を計算する場合、路線価と地積で評価額を求めることとなります。

 

しかし、同じ地積でもその土地の状況によって、利用価値が高い土地と低い土地があるのが実状です。

 

そこで、土地の形状や道路への面する状況に応じて、評価額に一定の補正を加えることとされています。
主な補正の種類をご紹介します。

 

不整形地補正

土地の形が長方形や正方形に近ければ、非常に使い勝手のいい土地といえます。

 

逆に、形がいびつだと実際には使えない部分が生じてしまい、実際の面積以下にしか利用することができません。

 

そのような、いびつな形の土地については、想定整形地に対するかげ地割合を計算し、それに応じて補正率を求めます

 

普通住宅地区にある土地の場合、補正率が最小で0.6となります。
つまり、元の評価額の6割程度にまで評価額が引き下げられる可能性があるということです。

 

不整形地補正率表(普通住宅地区の場合)

  500㎡未満 500㎡以上750㎡未満 750㎡以上
かげ地割合10%以上 0.98 0.99 0.99
15%以上 0.96 0.98 0.99
20%以上 0.94 0.97 0.98
25%以上 0.92 0.95 0.97
30%以上 0.9 0.93 0.96
35%以上 0.88 0.91 0.94
40%以上 0.85 0.88 0.92
55%以上 0.82 0.85 0.9
60%以上 0.79 0.82 0.87
65%以上 0.75 0.78 0.83

 

間口狭小補正

土地が道路と面する距離が間口距離となります。
この間口距離が極端に短い土地は使い勝手が悪く、利用方法にも制約を受けることとなります。

 

そこで、間口距離が短い土地については、補正率を乗じて、相続税評価額を減額することとされています。

 

たとえば、普通住宅地区で間口距離が5メートルの土地の場合、補正率は0.94とされています。

 

間口狭小補正率表(普通住宅地区の場合)

間口距離4m未満 0.9
4m以上6m未満 0.94
6m以上8m未満 0.97
8m以上 1.00(補正なし)

 

奥行長大補正

土地の奥行距離が間口距離に対して極端に長い土地は「ウナギの寝床」などと呼ばれます。

 

このような土地は、すべての土地を有効に利用しづらい状況にあると考えられます。

 

そこで、奥行距離を間口距離で除して大きな数値となる場合は、相続税評価額を減額することとされています。

 

たとえば、普通住宅地区で奥行距離÷間口距離が6以上である土地は、補正率が0.90となります。

 

奥行長大補正率表(普通住宅地区の場合)

奥行距離÷間口距離 2以上3未満 0.98
3以上4未満 0.96
4以上5未満 0.94
5以上6未満 0.92
6以上 0.9

参考元:国税庁

 

土地にかかる相続税の節税方法

土地を相続する場合、その相続税評価額は非常に大きな金額となるため、相続税の負担も大きくなります。

 

そこで、相続税の計算をする際にできる節税の方法を検討すべきです。
どのような節税方法があるのか、ご紹介していきます。

 

小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例は、土地の相続をする際に、最も多くの人が利用できる可能性のある節税方法です。

 

被相続人が住んでいた自宅の土地を相続する際、最大で330㎡までの土地について、その評価額を80%減額できるものです。

 

あくまでも土地の面積とその割合が定められているだけであり、金額についての上限はありません。

 

そのため、5億円の土地を相続して4億円の評価額が減少するということもあるのです。

 

適用にあたっては様々な要件があるため、誰が相続するのかも含めて、慎重に検討する必要があります。

 

地積規模の大きな宅地の評価を利用する

大きな土地を相続すると、その分相続税評価額も高額になり、相続税の額も大きくなります。

 

そこで忘れずに適用を受けたいのが、地積規模の大きな宅地の評価です。

 

三大都市圏では500㎡、それ以外の地域では1,000㎡を超える土地を相続する場合に適用を受ける可能性があります。

 

地積が大きくなるほど、その減額の効果も大きくなるため、まずは適用を受けられるか検討するようにしましょう。

 

不動産鑑定による鑑定を行う

形がいびつな土地や間口距離、奥行距離の影響で使いづらい土地の場合、補正率を使って減額することができます。

 

しかし、その土地が特殊な事情を抱えている場合には、補正率だけでは正しい評価を行っているとはいえません。

そこで、不動産鑑定士に評価を依頼するのも1つの方法です。

 

路線価方式や倍率方式では正しく評価できない場合、不動産鑑定を依頼し、特殊な事情を加味した評価額を計算してもらいましょう。

 

参考元:国税庁 

 

相続財産のうちに占める土地の割合は、高くなるケースが多いといえます。
一方で、土地の相続税評価額の計算は簡単ではないことから、相続が発生して初めてその金額を知るというケースも少なくありません。

 

相続税対策や節税なども考えて、土地の相続税評価額がどれくらいになるのかを事前に計算してみるのは非常に重要なことです。

また、相続税評価額を減額するような補正計算や特例の適用も忘れずに行いましょう。

 

相続税の土地評価方法5つと計算方法

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相続が発生した場合に、相続財産の額の大半を占めることもあるのが、土地です。
土地の評価額は大きいため、結果的に相続税の額が大きくなる原因ともなります。

 

しかし、相続財産に含まれている土地の評価額がわからないため、相続税がいくらになるかわからないという方も少なくありません。

 

今回と次回の2回に分けて、土地の相続税評価額の計算方法や相続税の負担を減らすための方法を解説していきます。

 

相続税の土地評価額は時価の7割から8割

相続税を計算する際に用いる土地の評価額は、相続税評価額と呼ばれます。
土地の相続税評価額は、一般的に時価の7割から8割といわれており、また土地の固定資産税評価額は、一般に時価の7割程度といわれます。

 

第三者間で行われた取引価格をもとにした時価と比較すると、相続税評価額は低く、固定資産税評価額はさらに低くなります。

 

相続税における土地の評価・計算方法

土地を相続した場合、どのような流れで相続税の計算を行うのでしょうか。
簡単にその流れをご紹介します。

 

①相続財産を確認し、その相続税評価額を求める

まずは、どのような財産を保有していたのかを確認します。
借入金や未払金などの債務も、相続財産となります。
土地や建物、有価証券などは相続税評価額を求める必要があるため、その計算を行います。

 

②法定相続人を確認し、基礎控除を求める

誰が法定相続人になるのかを確認します。
法定相続人が確定したら、その人数から基礎控除の額を求めます。

 

③課税対象の額を求めて法定相続分に分ける

①で求めた相続財産の額から②で求めた基礎控除の額を差し引いた額が、課税対象となる金額です。

この額を法定相続分で相続したものとして、各相続人の相続分を計算します。
なお、相続財産の額より基礎控除の額の方が大きい場合は、相続税が発生しないこととなります。

 

④相続税の額を計算する

各相続人の相続分として求めた金額から、相続税を求めます。
そしてそれらを合計した金額が、すべての相続人が納付する相続税の合計額となります。

 

⑤実際に相続した財産により相続税を按分する

相続税の合計額を、相続した財産の割合に応じて、各相続人に配分します。
ここで配分された税額が、実際に納付すべき金額となります。

 

相続税の土地評価方法5つ

土地の相続税評価額を求める際は、いくつかの評価方法があります。
評価対象となる土地の所在地ごとに評価方法が定められているので、まずはその評価方法を確認しなければなりません。

 

また、土地の利用状況によっては、更地として保有している場合とは区別して評価すべきケースもあります。


では、様々な土地の評価方法について解説していきます。

 

路線価方式による場合

路線価方式とは、国税庁が公表する路線価を使って、土地の相続税評価額を計算する方法のことです。
毎年路線価の金額は見直されるため、国税庁のホームページで確認する必要があります。

 

路線価方式による計算方法は、「路線価×土地の地積(㎡)」です。

 

たとえば路線価が180、地積が300㎡の場合、路線価は千円単位となるので、180千円×300㎡=5,400万円となります。

 

相続した土地に路線価が設定されている場合は、必ず路線価方式により計算しなければなりません。

 

まずは、路線価が設定されているかどうかを、国税庁のホームページで確認することから始めましょう。

 

倍率方式による場合

倍率方式は、市区町村で定めている固定資産税評価額をもとに、相続税評価額を計算する方法です。
固定資産税評価額は、各市区町村から送付される固定資産税課税明細書に記載されているため、誰でも簡単に知ることができます。

 

倍率方式による相続税評価額の計算方法は「固定資産税評価額×倍率」となります。

 

たとえば、固定資産税評価額が3,000万円、倍率が1.1倍の場合、3,000万円×1.1=3,300万円となります。

 

この倍率は、土地の所在する地域ごとに定められています。
具体的な倍率は、国税庁のホームページで確認する必要があります。

 

なお、倍率方式によるのは路線価が設定されていない土地となります。
路線価が設定されているかどうかを知るためには、結局、路線価を確認しなければなりません。

そのため、土地の相続税評価額を計算する際には国税庁のホームページは必要不可欠と言えます。

 

借地権を評価する場合

借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる際に発生する権利です。
土地を借りている人は、その土地を利用することができますし、簡単に貸主から返還を求められない立場にあります。

 

そのため、単に土地を利用しているというだけでなく、一定の権利を有するものと考えられているのです。

 

借地権を有する場合、その借地権の相続税評価額は「土地の評価額×借地権割合」となります。

 

たとえば、土地の評価額が5,000万円、借地権割合が60%の場合、5,000万円×60%=3,000万円となります。

 

このうち、土地の評価額とは路線価方式または倍率方式により求められる金額のことです。

 

また、借地権割合は国税庁のホームページの路線価図・評価倍率表で確認することができます。

 

貸宅地を評価する場合

土地を他人に貸して、その上に借主が建物を建てている場合、借主には借地権が発生します。
この借地権は相続財産として評価の対象になりますが、土地そのものの財産価値がなくなるわけではありません。

 

借地権が付着した土地のことを底地といい、底地と呼ばれる土地のことを税法上は貸宅地と呼びます。
貸宅地の相続税評価額は「土地の評価額×(1-借地権割合)」で求めます。

 

たとえば、土地の評価額が4,500万円、借地権割合が70%の場合、4,500万円×(1-70%)=1,350万円となります。
借地権として借主の財産となった金額の残りが、土地の所有者の財産となるのです。

 

貸家建付地を評価する場合

土地の上に、アパートや貸家を建てて家賃収入を得ている場合、その土地の所有者であっても、自由に使うことはできません。
土地の所有者がその土地を自由に使うことができない分、その土地の評価額は減額されることとなります。

 

自身で建設したアパートや貸家が建てられている土地のことを、貸家建付地といいます。

 

この貸家建付地の相続税評価額は「土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算します。
なお、借家権割合は一律30%と定められています。

 

また、賃貸割合は床面積で計算することとなり、建物すべてを賃貸している場合は1(100%)となります。

たとえば、土地の評価額が5,000万円、借地権割合60%、賃貸割合1の場合、5,000万円×(1-60%×30%×1)=4,100万円となります。

相続税を大きく左右する「配偶者控除」について解説!

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相続税は、引き継がれる財産の大きさに対応して課税額が決定されます。

しかし基礎控除が一律に適用されるため、実質、課税機会はそれほど多くありません。

 

その他にも様々な控除制度が設けられており、節税を考えている方はその種類の把握や適用を受けるための手続などを忘れないようにしなければいけません。特に重要な控除制度は「配偶者控除」です。

 

配偶者控除とは

配偶者控除は、その名の通り、被相続人の配偶者に対して適用される控除のことです。

 

他の控除に比べて適用機会が多いですし、何より、控除額が非常に大きいという特徴を持ちます。そのため、様々な場面において、配偶者への遺産分割の方法が節税効果を高めるために重要になってきます。

 

控除額の計算式

配偶者控除は、以下の計算式に従って算定します。

 控除額 = 相続税総額 ×(①1億6,000万円 又は ②法定相続分相当 / 課税価格の合計)

 

要は、1億6,000万円まで、あるいは配偶者の法定相続分相当までは納税しなくてもよくなるということです。

 

①②のいずれか多い方を計算式に当てはめることができますので、非常に大きな効果が得られます。

 

また、このことから分かることとして以下が挙げられます。

 

  • 2億円や3億円、それ以上の額を取得しても、法定相続分に従った配分であれば相続税の納付は不要
  • 法定相続分を超える割合で配偶者が取得したとしても、1億6,000万円までであれば相続税の納付は不要

 

なぜ、配偶者控除は高額なのか

他の控除制度だと、数十万円や数百万円程度のものが多いのですが、けた違いにこちらは控除できます。

 

その理由として、配偶者という特別な地位が関係しています。

 

なぜなら被相続人の配偶者であれば実質的にその財産の形成に寄与しており、完全に他人の財産とは言えないからです。

 

また、子へと財産が引き継がれるケースに比べて、2次相続が短いスパンで発生しやすいと言えることも関係しています。
なぜなら、被相続にから配偶者Aへ財産Xが渡って課税され、さらに翌年に2次相続が始まって財産XがAからその子Bへ渡ると、二重に課税されているのと近い状態になってしまいます。

 

これを防ぐという目的もあり、大きな控除額が設定されています。

※なお、相次いで発生する課税を調整するため「相次相続控除」という制度もある

 

なお、節税を狙うのであれば、配偶者控除をフルに活かすのが良いとは限りませんので注意しましょう。

 

1次相続において子Bにも基礎控除は適用されますので、全財産を配偶者Aに渡してしまうと、2次相続において配偶者控除が使えない子Bには大きな納税義務がかされるおそれがあります。

2次相続における相続税について!相次相続控除の内容を解説

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相続税を節税するのは簡単ではありません。ルールがたくさんありますし、複雑なものもあり、しかも、今回の相続だけを考えたのでは理想的な節税は果たせません。重要なのは2次相続まで考慮した対策を取ることです。ここでは2次相続において重要になる「相次相続控除」やその申告について解説します。

 

2次相続とは

まずは2次相続について説明しておきましょう。

2次相続とは相対的なものであり、親から子へ、その子からさらに子へ、という相続が続いた場合、最初の親から子への相続を1次相続とし、その次にさらに子へ起こる相続を2次相続と呼びます。

 

実際は、ここで「親から子へ」とした相続もそれ以前にさらにその親が存在しているため、「1次」や「2次」というのは、ある時点における相続に着目した場合の呼び方になります。

そして、1次や2次などとわざわざ前後を観念するのは、前回の相続の仕方が次回の相続税に大きく影響することに由来します。

 

例えば今発生している相続(1次相続とする)のみに着目して、最大限節税対策を施したとしても、その次の相続(2次相続)で大きく課税されてしまい、トータルあまり節税効果が狙えないということも起こり得ます。

 

相次相続控除の内容と控除割合

2次相続対策に関しては遺産分割協議や被相続人による遺言などでの対応が重要ですが、短いスパンで相続が続いた場合には「相次相続控除」が利用できることがありますので、これを忘れずに活用すべきでしょう。

 

これは、2次相続における被相続人が前回(1次で)納付した税額に関して、一定額の控除が受けられるという内容です。相次いで相続が発生すると、同じ財産に対して課税がなされるのと同等になり、二重課税に近い状態となるため、この制度が設けられています。

 

そこで、控除額は経過年数に応じて計算されます。

控除額は、1年ごとに10%ずつ減額され、前回から年数が経過するほど控除される額は小さくなっていきます。厳密に計算をするには、前回の課税額や取得財産の額、今回取得した財産の額などを整理しなくてはならず、複数の相続人がいる場合にはより計算は複雑になってきます。

いずれにしろ、経過年数が相次相続控除の額を大きく左右する要因です。10年が経過すると差し引くことができる額はゼロになります。

 

相次相続控除を受ける要件

要件は以下です。

  • 前10年以内に1次相続が発生していること
  • 被相続人に対して1次相続の課税がされていること
  • 相続人が相続放棄や相続権の喪失をしていないこと

 

また、自動的に適用されるわけではありませんので、別途書類の作成をして申告しなければなりません。前回の課税に関する情報も必要ですので、1次における申告書控のコピーを添付します。

国外財産を取得した者が知っておくべき「外国税額控除」を解説

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相続や遺贈によって国外から財産を取得した者は、その外国における法律に従って相続税を納付します。しかし日本でも課税がなされ二重課税が生じることがあります。この問題を是正するため、「外国税額控除」という制度が設けられています。

ここではこの外国税額控除の適用を受ける条件や、その額について、解説していきます。

 

外国税額控除の金額

当該控除では、海外ですでに支払った税額が上限となり、日本での納税額を減らすことができるという内容になっています。

実際に控除できる金額は、以下の2パターンのいずれか小さいほうです。

  • 外国で納付した税額
  • 国内での相続税額×(外国にある財産の額/相続人の相続財産の額)

 

そのため、外国で収めた税額が非常に大きかったとしても、そのままその金額が全部引かれるというわけではありません。

国内での税額との兼ね合いのもと、算定されるのです。控除を受けようとするのであれば、各国にある財産の状況は正確に把握しなければなりませんんし、外国での納税額と国内での納税額両方の計算をしなければなりません。

 

控除の要件

また、以下の要件も満たさなければなりません。

  1. 「相続や遺贈」によって外国の財産を取得したこと
  2. 当該財産につき、その外国で「相続税相当の課税」をなされたこと

 

この控除は、そもそも二重課税を避けるために作られた制度です。そのため、要件2にあるように外国で相続税が課税されていなければなりません。名称として「相続税」とされている必要はなく、実質的に見て相続税と評価できるものであればこの要件を満たします。

しかしながら、意外にも、これに相当する課税がなされる国ばかりではありません。

日本では当たり前のように相続時に課税がなされますが、課税されない国も多く存在します。

 

例えばアメリカやフランス、ドイツ、イギリスなどであれば日本同様に課税の仕組みがあります。他方、オーストラリアやカナダ、スイス、タイ、シンガポール、マレーシア、スウェーデンなどでは課税が行われません。

 

また、日本でもそうですが、相続があったからといって実際に納税が求められるのは限られた場面です。数十万円、数百万円程度の財産しかなければ基礎控除等によって納付額はゼロとなることが多いです。

 

アメリカなどの国でも同じような運用をしているところが多く、数億円程度の財産があって初めて課税機会が訪れます。

 

よって、外国税額控除は国境をまたいで活動する資産家にとっては非常に重要な控除であるといえるでしょう。

未成年が財産を引き継ぐ場合は必見!未成年者控除と相続税の話

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いつ相続は開始されるか分かりません。そうすると、未成年の子どもが相続人になることも珍しくありません。また、未成年の者に対して遺言で財産を渡すということも起こり得ます。

このとき、場合によっては相続税が発生するのですが、ぜひ知っておきたい「未成年者控除」というものがあります。以下でその内容を解説していきます。

 

未成年者控除とは

未成年者控除とは、未成年の者だけに適用される控除のことで、相続税の計算において一定額を差し引くことができるというものです。

ただし、財産を取得する者が未成年者でさえあれば常にこの控除が受けられるというわけではありませんので、注意しましょう。

以下で挙げる条件を満たした者でなければなりません。

 

未成年者控除を受ける条件

控除を適用させるためには、以下の要件すべてを満たさなければなりません。

  1. 財産の取得時、住所が日本国内であること
  2. 財産の取得時、20歳未満であること
  3. 財産を取得した者が、法定相続人であること

 

1に関してですが、財産を得た者が一時的に国内居住をしており、さらに被相続人も一時的に国内居住しているケースなどではこの要件を満たしません。

なお、取得時に国内に住所がない者でも、「日本国籍を持つ」かつ「前10年以内に日本で住所を持っていた」のであれば認められます。他にも細かく要件が設定されていますので、日本国籍の有無や前10年に日本に住所を持っていない人などはよくチェックする必要があるでしょう。

 

未成年者控除の計算・控除額

具体的に差し引きできる金額は、年齢によって変わります。

下の計算式に従って算定されるため、20歳から離れるほど、幼いほどその額は大きくなります。 

  控除額 = (20歳 - 年齢)×10万円

 そのため、19歳であれば10万円、10歳であれば100万円、5歳なら150万円ということになります。

 

なお、年数の計算にあたっては1年未満の端数は切り上げて考えます。

例)年齢19歳7ヶ月なら、19歳で計算し、控除が受けられる

 

扶養義務者も恩恵を受けられる

算定した額が未成年者本人の相続税額より大きくなった場合、控除の全額を引ききれません。そのときには、当該未成年者の「扶養義務者」の相続税額からも控除が可能です。

扶養義務者とは、配偶者や親、兄弟姉妹などのほか、叔父や叔母などといった3親等内の親族も含みます。これらの肩書であれば常に該当するわけではありませんが、少なくともこれらの親族であり、扶養の義務が課せられている者でなくてはなりません。

【相続税】障害者控除の要件や控除額、申告に関することを紹介

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相続に伴い大きな財産の移転がある場合、相続税が課されます。

しかし様々な控除の制度があることにより、実際には納税の必要がなくなるケースが多いです。特に基礎控除額や配偶者控除などはよく知られていますが、他にも実はたくさんの控除制度があります。そのため節税をしたい方は、制度をよく知り、不必要に収めてしまうことのないように気を付けなければなりません。

ここでは特に「障害者控除」に関して要件や控除額等の情報をまとめていきます。

 

障害者控除の概要

障害者控除とは、一定の条件を満たす障害者が、相続または遺贈によって財産を取得したときに適用される控除のことを言います。

以下で説明するように、一律ではなく、年齢に対応した形で控除されるという特徴を持ちます。

適用要件

障害者であれば絶対に控除してもらえるというものではありませんので注意しましょう。少なくとも以下の要件を満たさなければなりません。

  • 法定相続人であること
  • 財産を得た時点において障害者であること
  • 85歳未満であること
  • 財産を得た時点において、日本国内に住所を持っている人

上2点に関しては当たり前と言えるでしょう。住所に関しても基本的に問題となることは少ないと思われます。重要なのは85歳未満でなければいけないということです。それら以外の要件を満たしても、85歳の方にはこの控除は適用されません。

 

障害者控除の額

上記要件のうち「85歳未満」が求められる理由は控除額とも関係しています。

以下の計算式を見てみましょう。

 

控除額 = (85歳 – 本人の年齢)×10万円

 

つまり、若い年齢ほど控除額が大きくなるのです。

なお「特別障害者」にあたる方の場合にはこの計算式の「10万円」を「20万円」として計算することになります。

特別障害者とは

そもそもここで言う障害者とは、医師による知的障害者の判定を受けた者や障害者手帳を交付されている方など、客観的な評価に基づいている必要があります。

当然、単なる自己申告では実際にこれらの者と同等の状態にあったとしても要件を満たしません。

 

次に特別障害者ですが、こちらは障害者のうち以下のような状態にある場合に該当します。

  • 事理弁識能力を欠いている
  • 重度の知的障害者と判定された
  • 精神障害者手帳に、等級が1級と記載されている
  • 身体障害者手帳に、1級または2級と記載されている

 

障害者であることが証明できる書類が必要

障害者控除に申告要件はなく、当該控除を活用した結果相続税の納税が不要になる場合、相続税に関する申告そのものが不要になります。

一方で申告を要する場合だと、障害者手帳のコピーなど、相続時典で障害者であることを証明できる書類を添付しなければなりません。

自動的に適用されるわけではない点に注意しましょう。

贈与税額控除って何?贈与をしている方が知っておくべき控除のルールを解説

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現金や不動産、動産など、財産をあげたときには贈与税が課されることがあります。そしてこの贈与税と相続税は、本来別物ではあるものの実は深い関係性を持っています。

実際、一方の課税を免れるために対策を取っても他方が課されてしまうというケースが多いです。また、場合によっては二重に課されてしまうおそれもあります。これを防ぐために重要な制度が「贈与税額控除」です。以下でその内容を見ていきましょう。

 

贈与税額控除は二重課税を防ぐための制度

相続税対策の一つに「贈与」があります。

生前に財産を渡しておくことで相続による財産の移転を少なくし、課税額を下げるというやり方です。しかしこの贈与をしたとしても相続税の計算に含まれるケースがあります。しかも、それが常に贈与税のことを考慮した計算になっているとは限らず、そのままだと二重に課税されてしまうことがあります。

 

例えば贈与税においては基礎控除額である年間110万円までは非課税ですが、110万円以下の贈与をしていたとしても相続直前に行われたのであれば全額が相続税の計算に含まれてしまいます。110万円を超えていた場合には、すでに贈与税を納めているにもかかわらず相続税の納税をしないといけなくなってしまいます。

 

しかし、過剰な負担がかかっている状態ですので、その分を「贈与税額控除」として是正するのです。

二度目の課税機会がやってきたときに活躍します。相続税の金額から、すでに支払った税額を一定のルール内で引くことができます。

 

申告は必要

贈与税額控除は二重課税を避けるために重要な制度ですが、自動的に適用されるわけではありません。そのため、納税者が自ら気をつけて、計算し、申告などの手続をとらなくてはなりません。

税の計算は非常に複雑ですし、様々なルールを知っておかなければ正確な値を算出できません。法改正がなされることも多いですし、昔に知った情報がすでに古くなってしまっていることもあります。

そのため実際に申告する場合には税理士等の専門家にサポートしてもらいつつ、進めることが大切です。

 

なお、こういった手続のことを更正の請求と呼びますが、相続税の申告期限から5年以内であれば有効ですので、急いでする必要はありません。もちろん、証明できる書類等がなくならないうちにできるだけ早く済ませておくべきですが、急いで自分で行うことなく、正確に、確実に行うようにしましょう。

 

贈与税額控除の2パターン

贈与税額控除が登場する場面としては主に2パターンが挙げられます。

1つは「生前贈与加算」が適用されることによる二重課税を避ける場面。もう1つは「相続時精算課税」が関係する場面です。

いずれも、一定額を超えた贈与分につき贈与税をすでに納めていることが条件です。相続時精算課税については期間の制限がないため、かなり昔の課税が問題になることもあります。そのため二重課税を避けるためにも、できるだけ資料は残しておくということが大事になるでしょう。

生前贈与加算にも対策は取れる!節税効果低減への対策方法を解説

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相続税を小さくすることは簡単ではありません。複雑に絡み合っているルールを網羅的に把握しなければなりません。生前贈与加算の制度もそこに関係しています。

そこでここでは、生前贈与加算によって節税効果が低減してしまわないよう、対策方法を解説していきます

 

相続人以外への贈与がポイント

生前贈与加算は、「相続、遺贈により財産を得る者」に対し、「相続が始まる前3年分の贈与」を相続税の計算に含めるという内容です。

一般的な節税対策として知られている生前贈与も、この制度が設けられていることにより一部制限がかかっているのです。3年以上前、かなり計画的に進めておかなければ意味が亡くなってしまい、死期を悟ってから急いで贈与をしたとしても間に合いません。

 

しかし、対策が取れないわけでもありません。

法律で定められているこの対象者以外の者へ贈与をすれば良いのです。

 

例えば被相続人に配偶者と子がおり、その子に、さらに子(孫)がいたとします。

そうすると、基本的にはその孫は相続人となりませんし、当該加算ルールの適用を受けません。

そこで、節税のみに着目をするのでれば、子に対し贈与をしておくのではなく、孫に対して贈与をしておくのが得策と言えます。

 

ただ、冒頭でも説明したように、課税に関するルールは複雑です。

一つの制度の抜け穴を通ることができたとしても、別の制度にひっかかってしまうという例は多いです。実際、孫への生前贈与でもまるまる節税効果が得られるとは限りません。以下の注意点も押さえておきましょう。

 

相続人以外への贈与における注意点

孫でも、「代襲相続人」となることがあります。

例えばその孫の親が死亡している場合、「相続、遺贈により財産を得る者」に該当することになり、生前贈与加算の対象になります。事前に贈与をしていたものの、相続が開始される前3年以内にその子の親(被相続人から見た子)が死亡してしまうと節税の意味がなくなってしまいます。

 

また、孫への贈与で対策を取っている場合には、遺言にも注意が必要です。遺言によってさらに贈与をするのであれば、やはりその孫は「相続、遺贈により財産を得る者」にあたります。

 

孫が生命保険金の受取人とされている場合には注意しましょう。この場合、「遺贈で財産を得る者」としてみなされてしまいます。

 

生活費の仕送りは課税対象外

贈与をした場合には贈与税における課税にも配慮しなければなりませんが、生活費を支援する場合など、一部課税されないものもあります

「扶養義務者」として認められた上で、生活費の仕送りをしていたのであれば、その分は別枠として捉えることができます。具体的には、教育費・結婚費用・出産費用などです。

 

生前贈与加算への対策を紹介しましたが、節税を狙いすぎて親族間のトラブルが生じないようにしなければなりません。受け取れると期待していた財産が受け取れず、関係性が悪化することもありますので、その点も踏まえてより良い形で相続が始まるように準備すべきでしょう。

生前贈与加算とは?相続税対策で注意すべきルールを解説

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引き継がせる財産が大きいほど、納めるべき税金が増えます。

そのため、単純に考えれば、亡くなる前にできるだけ不動産や預貯金などを渡しておくことで節税ができます。

しかしこれを無制限に認めていると税金を徴収するという本来の目的を果たせなくなってしまいます。そこで「生前贈与加算」というルールが設けられています。

 

生前贈与加算とは

相続財産がなければ、当然、相続税はゼロです。

しかしこの場面での課税では、実質面が見られます。つまり、相続開始時に被相続人が持っていた財産ではないものの「実質的に相続財産とみなせるもの」を法律で定めることによって、課税機会を増やしているのです。

生前贈与加算もその観点から設けられたルールの一つで、「相続直前の贈与分を、相続税の計算に含める」という内容になっています。

 

つまり、節税になると思って繰り返していた贈与も、無駄になる可能性があるということです。

 

生前贈与加算が適用される者

この加算ルールが適用される者は「相続、遺贈によって財産を得た者」です。

対象者の幅は広いです。

 

そのため、非課税の不動産や動産だけを得た人や、非課税の範囲で保険金・退職金等を得た人も当該ルールの対象者となります。

逆に、生前の贈与だけを受けており、相続・遺贈による財産取得がなかった人については適用がありません。

 

いつ贈与した分に加算されるのか

加算ルールが適用される範囲は非常に重要なポイントです。

生前贈与加算においては、相続が始まる前3年の贈与が対象です。

つまり、4年前や5年前に贈与をしていたのであれば、節税の効果が見込めます。

 

これだけ前の話であれば、死期を悟って急いで課税を免れるために対処したとは考えにくいですし、過去にさかのぼり過ぎると証拠の散逸により手続が煩雑になってしまうという問題も出てくるからです。

 

よって、相続税対策を取りたい方はかなり前もって、計画的に贈与を行う必要があるでしょう。なお、問題となるのは生前贈与加算だけではありませんので、贈与税やその他のルールも総合的に見ながら対処していく必要があります。

 

贈与税と同じ基準で計算するわけではない点、注意

贈与税は基礎控除額が110万円と定められており、年間この金額以下の贈与であれば基本的に課税はありません。

しかし生前贈与加算が適用されて相続税の計算に含まれる場合、たとえこの控除額以下の贈与であったとしても関係ありません。

 

このように、相続税の計算は複雑で、様々なルールを同時に考えなくてはなりません。不安があるという方は行政書士等の専門家に相談して対策を取るようにしましょう。

遺留分侵害額請求の手続きと大まかな費用

遺留分侵害額請求の手続きの概要と大まかな費用を見ていきましょう。 

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遺留分侵害額請求の手続きと大まかな費用

遺留分侵害額請求の方式

遺留分侵害額請求は口頭でおこなうことができます。
ただし、口頭で相手に伝えても、何ら証拠が残りませんので、書面によるのが好ましく、内容証明郵便などを利用すると良いでしょう。

また、遺留分侵害額請求の相手が任意に支払ってくれるとは限らず、そのような場合は、遺留分侵害額請求の調停を利用することができます。
遺留分侵害額請求の調停が整わない場合、審判へと進んでいきます。

なお、令和元年7月1日より前の相続の場合、遺留分減殺請求により物件返還請求の調停を利用します。

なお、遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内、または、相続開始の時から10年以内に行使しなければなりません。

 

遺留分侵害額請求に掛かる費用

遺留分侵害額請求にかかる費用は、家庭裁判所や市区町村に払う費用と、専門家への報酬です。

 

公的機関に支払う費用

まずかかるのは、内容証明郵便の費用です。
調停を利用する場合は、遺留分侵害額請求の調停にかかる費用と戸籍謄本などの取得費用がかかります。

参考:内容証明郵便、遺留分侵害額請求の調停の申し立て費用

  支払先 費用
内容証明郵便 家庭裁判所 郵便の基本料に内容証明料などが加算され、書留
遺留分侵害額請求の調停 郵便局 ・収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認要)



弁護士などに依頼する費用

遺留分侵害額請求を専門家に依頼する場合、次の方法が考えられ、それぞれに費用がかかります。

  • 遺留分侵害額請求の内容証明郵便のみ作成してもらう
  • 遺留分侵害額請求調停の申立書を作成してもらう(不随する戸籍謄本を取り寄せてもらう)
  • 内容証明郵便の作成と送付、遺留分侵害額請求調停への移行などすべて依頼する

内容証明郵便の作成と送付、相手との交渉や遺留分侵害額請求調停への出席など、すべてを行えるのは弁護士だけなので注意しましょう。
行政書士、司法書士はそれぞれ業務範囲があるので、報酬が安くても解決まで面倒を見てもらえるわけではありません。
報酬だけでなく、それぞれの専門家に頼める内容を事前に確認してください。

 

遺留分侵害額請求は弁護士に相談するのがおすすめな理由

ここまでで、遺留分侵害額請求の相手や、手続きがわかりましたが、自分で遺留分侵害額請求ができるか、弁護士に相談するほうが良いか、悩むのではないでしょうか。


遺留分侵害額請求をするなら、弁護士に相談するのがおすすめな理由を確認します。

 

遺留分算定の基礎を計算してもらえる

前述のように、遺留分算定の基礎の計算は、意外と面倒な場合もあります。
債務や複数の不動産がある場合は、計算が大変です。
遺留分算定の基礎を計算する前提として、相続財産を全て洗い出さなければなりません。

 

また、生前贈与は、遺留分侵害額請求の対象となるかどうか確定が難しいこともあります。
弁護士に依頼すれば、相続財産の確定から遺留分算定の基礎の計算まで任せることができるので、心強いでしょう。

相手と代理で交渉してもらえる

遺留分を侵害する生前贈与や遺言がある場合、遺留分権利者と受贈者や受遺者の関係性が悪化していることもあります。
見知らぬ他人が遺留分侵害額請求の相手かもしれません。

気まずい相手とシビアな交渉を自分でおこなうのは、大きなストレスです。


客観的に交渉をおこない、優位に運んでくれる弁護士に依頼することをおすすめします。

手続きや裁判が心強い

遺留分侵害額請求の内容証明郵便は、形式だけ本で調べて自分で書くと、何か間違いがあるかもしれません。
また、遺留分侵害額請求の調停になったとき、家庭裁判所という慣れない場所で相手と話し合わなければなりません。

 

これら、遺留分侵害額請求の内容証明郵便作成や、遺留分侵害額請求の調停での交渉すべて、弁護士なら引き受けてくれます
非常に心強いのではないでしょうか。

 

まとめ

数回にわたって遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い、遺留分侵害額請求の方法などを見てきました。

 

遺留分を侵害する生前贈与や、遺言そのものは有効です。
しかし、金銭的にも心情的にも、相続人として権利を主張したいと思う方もいるでしょう。


その際はスムーズに交渉が進むようにするためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

 

遺留分侵害額請求を受けてしまった人も、弁護士に相談してみてください。
冷静な話し合いをおこなってもらえるので、精神的・時間的な負担を軽減することができます。