代襲相続人における基礎控除について掘り下げてみる

前回の記事では、基礎控除や相続税の計算について書きましたが、当記事では、「代襲相続人の基礎控除」について掘り下げていきたいと思います。

 

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そもそも、代襲相続人とは?

相続手続きの中で、普通の人に取ってややこしく感じられるのが、「代襲相続」という制度だと思います。

 

代襲相続とは、死亡・廃除などの理由で、相続権を失った人に代わり、相続人の孫が、他の相続人と同じ順位で相続人になるということです。

 

これがなぜややこしいかというと、法定相続人には、優先順位が定められているからです。

 

  • 優先順位に関係なく相続人 配偶者(夫・妻)
  • 第一順位 子供(胎児・養子・認知された非嫡出子も含む)
  • 第二順位 父母
  • 第三順位 兄弟姉妹

(なお、兄弟姉妹は、遺留分の対象外です)

この中で、配偶者と、第一順位に当たる人がいれば、その人たちだけで相続することとなり、いない場合に初めて第二順位の父母に相続が回り、さらに第三順位の人が相続する形となります。

 

しかし、この中で第一順位の子供は亡くなったけれども、その子供に孫・ひ孫がいるというケースだと、孫に対し相続権が回り、父母まで相続権が回ってくることはありません。

 

このため、相続人を考える上では、「被相続人が産まれてから亡くなるまでの一式の戸籍謄本を取得」し、念のため、非嫡出子や、離婚した前妻などとの子供・ひ孫・玄孫(やしゃご)、(それぞれ養子・非嫡出子も含む)がいないかを確認することが必要になります。

 

戸籍謄本は、被相続人の本籍地がある市区町村役場へ、窓口か郵送で取り寄せ、本籍地を移している場合は、本籍を移した市区町村役場へも請求する必要がある

戸籍謄本は、まず被相続人(亡くなった方)の本籍地の市区町村役場へ取り寄せます。

 

現在のご時世ですし、郵送で取り寄せるのが無難です。市民課などに確認し、必要書類と、必要額の定額小為替(ゆうちょ銀行で購入できます)、返信用封筒を封入し、請求します。

 

返信された戸籍謄本を確認し、本籍地を市区町村外へ移している場合は、その市区町村

役場へ、改めて本籍地変更後の戸籍謄本を請求する必要があります。

 

そのため、被相続人が本籍地を移した頻度が大きいほど、出生から死亡までをたどるのは大きな負担になります。

 

また、戸籍自体も、年代が古くなるにつれ、手書きの戸籍も増え、専門家でも読むのに一苦労するケースがあります。特に、大正4年から昭和22年までの、現在の形式になる前の戸籍は、非常に細かく、慎重に目を通す必要があります。

 

そのため、戸籍の解読に慣れた専門家に依頼することをできればお勧めします。

 

代襲相続人は、基礎控除の対象になる?そして、代襲相続で気をつけたい、時間が経ってからの遺留分減殺請求とは?

結論から言うと、代襲相続人も、前回述べた、法律で定められた相続人、つまり「法定相続人」に当たりますので、1人当たり600万円の基礎控除が加算されます。

 

改めての復習ですが、法定相続人となり、遺産を受け取る対象となる人が、基礎控除の加算対象になります。

 

仮に、代襲相続者との関係が悪く、代襲相続者が相続欠格や廃除などの手続きをされていない場合、きちんと遺言を作成しておかないと、法定相続分は代襲相続人にも渡ることとなりますし、代襲相続人は直系卑属(直接の子供・孫・ひ孫・玄孫)であるため、遺留分として法定相続分の半分を請求する、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)というのができてしまいます。

 

遺留分減殺請求に関しては、相続開始後

  • 減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき
  • 相続開始から10年経過

した際に、権利が消滅します。

 

逆に言うと、9年経ってから代襲相続者が現れ、遺留分減殺請求を行った場合、これまでの相続手続きを全てやり直すことになってしまいます。

 

もちろん、このようなケースは実例として極めて少ないと思いますが、万一数年なり8,9年経過してから遺留分減殺請求のような事態が発生した場合、全ての手続きをやり直すこととなりかねません。

 

上記のような負担を防ぐには、被相続人が遺言を作成する、既に代襲相続人がいて、その相続人の行動が目に余る場合は、相続対象としないよう「廃除」する手続きを家庭裁判所に行うこととなります。

 

ただし、廃除に関しては、よほどの事情がない限り認められないというのが実情です。

 

そのため、遺留分減殺請求分ほどは代襲相続者に遺し、あとは他の人に相続させるという形が無難ではないかと思います。

 

また、遺言書を作成し、本来は相続させたくないが、最低限の相続はさせること、なぜそのような措置を取ったかも含め、遺言書に盛り込んでおくのも一つの方法といえましょう。

 

世代を問わず、多くの人が法律情報にアクセスできるようになったことで、「遺産は相続しないといわれても、遺留分減殺請求の制度を使えば、法定相続分の半分は請求できるんだぜ」というような、自分に都合の良い情報を集めやすい世の中になっています。

 

確かに、権利の上に眠る者は保護に値するという法格言もありますので、遺留分、つまり自分が最低限もらえる分について主張することは、法律上は何ら悪いことではありません。

 

特に地方や昔からの家の場合、何かと穏便に話を進めるケースが多いですが、現在は価値観も多用し、権利を主張するということに対し、抵抗感もなくなっています。

 

相続発生時や遺言書作成の際には、代襲相続者の存在や遺留分減殺請求の可能性などにも、是非目を向けて欲しいと感じます。

 

 

相続税の法改正を踏まえた、基礎控除と相続税の計算について

相続に関して多くの方が心配される点が、「うちは相続税がかかるの?」という点です。2015年に相続税の改正があったため、都心・都下や名阪・地方都市などでも相続税の対象になるケースが増えました。

 

仕事柄、法人相手に相続のお話をすることが多いですが、今回は個人を対象に、できるだけかみくだいてご説明します。

 

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相続税の計算対象となる相続財産は?

一言で言うと、「相続する全ての財産」が相続税の計算対象です。

現金・預貯金・株券・債権・暗号資産(仮想通貨)・土地建物・貴金属や骨董・美術品・古銭・コレクションなどの資産価値があるものは、全て相続税の対象になります。

 

ただ、実務上は、

  • 知らなかったネットバンクの口座があった!
  • 素人では価値があると思いつかないような骨董品が倉から出てきた
  • 掛け軸が経済的価値のある美術品だった
  • メインバンクだけでなく、県外にへそくり的な銀行口座を作っており、それを忘れていた
  • 古銭や趣味で集めていたアンティーク品が、実は専門の鑑定士に見てもらうと、相当な価値がある物だった

こういうのはほんの一例ですが、意図せず資産にあたるものを報告できていなかった、ということも発生し得ます。

 

もちろん、わざとではないにしても、こういう申告漏れは後から修正申告の対象になります。口座・資産の見落としがないように気をつけることに加え、経済的価値があるもの、ありそうなものは、あらかじめピックアップしておき、税理士に相談するのがよいでしょう。

 

また、可能であれば郵便物・メール・パソコン・スマホなどをチェックするほか、ネット銀行の場合、6桁の数字を表示する「トークン」という小さな機械やカードがありますので、遺品がトークンが見つかれば、ネット銀行との取引があると見た方がよいでしょう。

 

意外ではあるが、相続が発生すると必ず相続税が発生・・・とは限らない

普段相続に関わることのない一般の方だと、「相続発生=相続税がかかる」というイメージを持つ方も時折おられます。

 

確かに、2015年の税制改正で、相続税の課税対象は広がりましたが、必ずしも相続が発生した家庭全てに相続税がかかるというわけではありません。

 

相続税というのは、「3,000万円の基礎控除」というのが存在します。これに加え、「相続人一人につき、プラス600万の基礎控除」というのも存在します。

 

例えば、被相続人(亡くなった方)に、奥様、お子様二人の3人の相続人がいる場合、

3,000万円に、相続人3人×600万円を足した、合計4,800万円が、「基礎控除の基本額」となります。

 

このように、相続する遺産全額に相続税がかかるのではなく、プラスの財産から、一定の控除や葬儀費用・債務などマイナスの財産を差し引いて残った部分に対して課税をするため、ケースによっては、相続税がかからないことも意外とあるのです。

 

課税対象となる遺産の総額を出してみよう

上記の点をふまえて、実際の課税対象になる遺産がいくらになるかをざっくりと計算してみましょう。

 

1.プラスの財産を算出する

遺産そのものの総額に加え、みなし相続財産(保険金・退職金など)、相続時精算課税の対象となる贈与を全て合計します。

 

2.マイナスの財産を差し引く

ここから、借金、いわゆる債務や葬儀費用を合計し、差し引きます。また、お布施は領収書をもらう性質の物ではありませんが、葬儀費用の対象となるので、支払先の寺社・金額・日時のメモを必ず記録しておきましょう。なお、香典は相続財産の対象とならない分、初七日の費用、法事の費用、香典返しも葬儀費用の対象となりません。

 

このマイナスを差し引いて出てきた物を、「正味相続財産」と言います。

 

3.3年以内の贈与を加え、実際の課税価格の合計額を算出する

正味相続財産に3年以内の贈与を合計した額(課税遺産相続)から、基礎控除分を差し引きます。

 

仮に課税遺産相続6,000万円、配偶者、子供2人の環境だと、6,000万円-4,800万円で1,200万円が課税遺産総額となります。

 

各相続人ごとの相続税額を算出する

上記の環境で法定相続通りに行くと、配偶者が2分の1の3,000万円相続、子供2人4分の1の1,500万円相続となります。ここから基礎控除の4,800万円を相続する比率に応じて差し引くと、配偶者600万円、子供2人400万円となります。

 

ここから、それぞれの法定相続人の取得価額に応じた超過累進税率(引用元:国税庁 No.4155 相続税の税率)をかけて、個々の法定相続人の事情に応じた控除を差し引きます。

 

法定相続分に応ずる取得金額

税率控除額

1,000万円以下→税率(以下同じ)0

3,000万円以下→15% 控除額 50万円

5,000万円以下→20% 控除額 200万円

1億円以下→30% 控除額 700万円

2億円以下→40% 控除額 1,700万円

3億円以下→45% 控除額 2,700万円

6億円以下→50% 控除額 4,200万円

6億円超→55% 控除額 7,200万円

 

このように、法定相続人一人一人に分けて計算しますので、法定相続人の数が多いほど、結果として課税額が抑えられるケースも想定できます。

 

ポイントは、法定相続人以外の他の人への相続は、相続税の計算に入らないということです。そのため、あくまで相続税の計算基準は、法定相続人をベースに行うということとなります。

 

また、配偶者に関しては、実際の取得金額が1億6,000万円、または法定相続分である場合は相続税は0となり、それを超える場合、差額部分に初めて相続税が発生することを承知しておく必要があります。

 

代襲相続人における基礎控除の話は、次の記事でもう少し詳しく説明しますね。

 

多くの方が、「相続税の計算ってややこしい・・」と思われたかもしれません。ただ、専門家は実務を通して、様々なノウハウや計算方法を体得しておりますので、相続のプロに相談することが、何かとスムースではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺言書作成の際に気をつけたい、注意すべきポイントとは?

以前からよく仕事で、自筆証書遺言のチェックを依頼されることがあります。

 

自分で書いていると気がつかないですが、遺言書を作成する上で、意外と行ってしまう間違いというのは多くあります。

 

今回は、このような自筆証書遺言作成時に、注意すべきポイントについてまとめます。

 

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遺言書を全てパソコンで作成してしまう

遺言書の財産目録については、パソコンで作成することが認められるようになりました。

 

ただ、遺言書本体は今でも自筆で書く必要があります。意外とこの点に関して誤解があるので、「遺言書そのものは自筆」ということはご注意ください。

 

遺言書のタイトル・日付・署名・捺印などを忘れる

遺言書を作成する際は、タイトルに「遺言書」など、遺言であることがわかる表記を入れておく必要があります。また、作成の日付・署名・捺印(認印で構わないが、実印だとより望ましい)などの抜け落ちにも注意する必要があります。

 

相続させる財産を具体的に書いていない

例えば、「自宅・田畑は跡を継ぐ長男に譲る」というような書き方はNGで、「長男 ○○○○ (昭和○○年○月○日生)に、下記の土地・建物を相続させる」など、どの財産を具体的に相続させるのか書く必要があります。

 

相続に関する書籍の文例集を見ながら、状況に応じた適切な文章を作成するよう、心がけてください。

 

自筆証書遺言書は、書き間違えたら最初から書き直す。修正液や訂正印はNG

自筆証書遺言では、表記を間違えた場合、間違えた部分に線を引き、法務省が提示する修正方法で訂正する必要があります。この中で、下に「上記三中、二字削除二字追加 法務五郎」のように、どの項目を何字削除、何字追加したかを追記し、最後に署名をする必要があります。

 

ただ、この修正方法の場合、下記の注釈忘れ、署名忘れなどを行いがちですので、最初から遺言書全体を書き直した方が安全と言えます。

 

読める字で書く

「そんなの当たり前だよ!」と思われがちですが、人によっては、達筆過ぎたり、個性的な文字を書かれたり、早く書くことを優先されるばかりに、普通の人には不明瞭な文字で書かれた自筆証書遺言があるケースもあります。

 

字の上手・下手と言うより、焦らず落ち着いて、読める字で書くよう注意してください。

 

財産目録・預貯金口座・不動産の登記事項証明書のコピーに自署の署名・捺印を入れ忘れる

財産目録はパソコンで、預貯金口座・不動産の登記事項証明書は写しがあれば、自署で記載する必要はありません。しかし、財産目録・各証明書のコピーには全て、遺言作成者の自筆署名と捺印が必要です。

 

遺言書本体にだけ署名・捺印を行えば良いと思いがちですが、付属書類にも全て署名・捺印が必要ですので、忘れないようご注意ください。

 

遺言書に付言事項を付け忘れる

自筆証書遺言を作成する際にありがちなのが、財産の分け方だけを書いて、なぜこのような分け方にしたのか、理由を書いていないため、相続人同士が不仲になるケースです。

 

事情があり、特定の人に多く相続させたり、逆に特定の人に対する相続額を少なくする場合は、なぜそのような判断をしたのかという理由を「付言事項」として付け加えることをお勧めします。

 

また、あわせて相続人・家族・親族・関係者への感謝の言葉も含めておくと、より相続人の方たちにとって受け入れやすくなるでしょう。

 

遺言書が絶対ではない

遺言書は、法定相続人全員(法定相続人以外の遺贈を受ける人がいれば、その人も含む)の同意があれば、遺言書と異なる内容の相続を行うことができます。

 

ただ、そうなると遺言書を書いた意味がなくなってしまいますので、自筆証書遺言を作成する際は、法定相続人や遺贈を受ける人が納得のできる内容にしておくことが大切です。

 

遺留分侵害に気をつける

配偶者・子供・親は「遺留分」をそれぞれ有しています。(兄弟姉妹には遺留分なし)遺留分の額については、配偶者・子供・父母の存在によりケース・バイ・ケースで異なりますので、ここでは省略します。法的に最低限受け取れる割合という意味合いで捉えておいてください。

 

例えば、子供に一人、相続させたくない子供がいて、その子供に相続させない遺言書を作成した場合でも、もしその子供が相続があることを知ってから1年か、相続した日から10年以内であれば、遺留分減殺請求(今後は遺留分侵害額請求)を行い、遺留分を請求できてしまいます。

 

これまでは、現金の他土地などで現金の代わりとすることができましたが、民法の改正により、全て現金で支払う必要が出てきます。

 

以上のように、遺言書を作成する際は、書き方から相続人等の心情まで、様々な面に配慮する必要があります。

 

一般の人が遺言書を作成すると、上記のようなミスが出てきてしまう恐れがあります。

できれば専門家に遺言作成を依頼することをお勧めしますが、どうしても自分でつくりたい場合は、一から作成するのではなくひな型などをベースに作成を進める方がミスも減るかと思います。

 

遺言書のひな型や書き方については、遺言書パーフェクトガイドで公開されていますので、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

 

遺言書のひな型(Wordファイル)

 

 

また、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度も令和2年7月よりスタートしますが、法務局で内容のチェックはしませんので、問題がある遺言でもそのまま預かられてしまい、いざ開封してみると、遺言書の要件を満たしていない・・・という可能性もあります。

 

より確実なのは、専門家のアドバイスを踏まえ、公証人役場で公正証書遺言を作成することと言えます。

 

プロフィール

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専門の税理士法人(経営コンサルティングファーム)で、相続にかかる業務・事業承継など複数の専門業務に関与しております。

 

相続に関し、手がけた件数は主業務では数十件、共同で行った案件も含めると、100件以上の担当になるかと思います。

相続に関して、相続税法の改正は非常に多くの人に影響を与えており、制度変更に対する注意喚起と、長期的な目線での相続対策が必要と感じています。

ご存じの通り、数年前より相続税の課税基準が、以前の基礎控除5,000万円+法定相続人1人1,000万円から、基礎控除3,000万円+法定相続人1人×600万円へと引き下げられました。

 

このことで、都内で一戸建て・マンションを所有しているケースは大半の場合で相続税申告の対象となる可能性が高くなり、地方都市でも同様と言えます。

また、それ以外の一般家庭でもかなりのケースで相続対策や相続税の適正な申告が必要となる事例も見てきました。「うちは普通の家庭だから、相続は関係ない」という言葉は、けして言えなくなりました。(加えて、相続税とは別に、相続人間のトラブルも・・・・)

実際、業務に携わる中で残念に感じたことがあります。

 

それは、「専門家に頼まず、自分で相続手続きをして節約しようとしたばかりに、不適切な申告内容になり、追徴課税などを課され、これなら最初から専門家に頼んでおけば・・・」というケースを、結構な頻度で見聞きすることです。

 

相続税申告について、うちは関係ないと思い込んでいた、知らなかった、自分でなんとかなると思って本を見ながら手続きを行ったなどのケースで、数年後に調査が来て追徴課税、結局専門家に依頼しておけば良かったというケースも・・・・

 

また、なかなか現在外に出にくい状況だからこそ、普通の人にとって、相続の情報を集めにくい状況があります。ですので、多くの方に相続の「基本的な部分」をわかりやすく、専門用語を省きお伝えすることが極めて重要と感じています。

 

当然、当職の職務上、守秘義務などありますので、実例をお伝えすることはできません。

事例を書く場合でも、あくまで一般的なことなど混ぜ、その中に経験などを交え、問題なく公開できる形で皆さんにお伝えしていければと思います。

 

また、法人相手では、事業承継を中心に、企業経営者の支援を行ってまいりました。

事業承継とは、まさに経営を次の世代へ引き継ぐための重要な取り組みで、長期的な目線が要されます。

 

事業承継をスムースに進めるためには、事前準備が必要であり、時には1年~3年の長期的な目線で取り組む必要も出てきます。

経営者にとって、事業とは、自分が手塩にかけて育てた子供のようなものです。事業を適正に継承するには、子供と同じで、「教え、対策を事前に練っておくこと」が大事です。継承者へのレクチャーも必要ですし、税務・相続回りの対策も必要になります。

 

特に、成長した会社にとっては、自社株の額面上の評価額が高騰すると、他の経営に関与しない相続人とのバランスなども含め、慎重に考えることがとても重要になります。

もちろん、自社内や外部のステークスホルダーなどの理解や、事業の承継者自身が、「自分が事業を引き継ぐんだ」という強い自覚がないと、事業承継はスムースに進みません。

 

こちらの部分についても、触れられる機会があれば、いろいろわかりやすく解説していきます。

また「会社の終活」である、スムーズな廃業や事業売却、経営者保証ガイドラインを活用した、信用情報に影響を及ぼさず、自宅等も確保しながら事業をたためる方法や、経営者補償・連帯保証を外す方法などについても、機会があれば扱いたいと思っています。

 

税金は、正しく申告する義務があるとともに、ルールの中で「適切な節税」を考えることが大切です。税金の制度・税体系全体が、個人などではカバーしきれないくらいの複雑さです。

払うべき物は支払うと共に、適切な節税を意識することと、同時に税金を払いながら内部留保、つまり社内に現預金を蓄積していくことのバランスが大切です。

 

節税にばかり走って、税金を納める額を少なくしたばかりに、現預金がない、というのは危険な状態です。

 

2020年の新型肺炎問題で、多くの企業が自粛要請を受けました。

ここでキャッシュや、銀行との融資取引実績があり、信頼を得ている状況であれば、余裕を持って持ちこたえることができますが、キャッシュもない、借入もできないという状況だと、一気に全てが崩れてしまいます。

 

このような、生き残るための経営についても、時折触れられればと思います。

 

当ブログでは上記を踏まえ、

 

・個人の相続の注意点やスムースにするコツ、専門家の活用方法

・企業の事業承継、相続の問題

・会社を継続的に運営するために大切な、お金・税金・節税との付き合い

・会社を穏やかに終わらせる「法人の終活」

 

などを取り上げ、特に初期は個人の相続について、まだまだ人々の相続に対する認識の幅が様々であるため、いろいろな人に「相続」を知っていただけるよう情報発信をしていきたいと思います。