生前贈与加算とは?相続税対策で注意すべきルールを解説

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引き継がせる財産が大きいほど、納めるべき税金が増えます。

そのため、単純に考えれば、亡くなる前にできるだけ不動産や預貯金などを渡しておくことで節税ができます。

しかしこれを無制限に認めていると税金を徴収するという本来の目的を果たせなくなってしまいます。そこで「生前贈与加算」というルールが設けられています。

 

生前贈与加算とは

相続財産がなければ、当然、相続税はゼロです。

しかしこの場面での課税では、実質面が見られます。つまり、相続開始時に被相続人が持っていた財産ではないものの「実質的に相続財産とみなせるもの」を法律で定めることによって、課税機会を増やしているのです。

生前贈与加算もその観点から設けられたルールの一つで、「相続直前の贈与分を、相続税の計算に含める」という内容になっています。

 

つまり、節税になると思って繰り返していた贈与も、無駄になる可能性があるということです。

 

生前贈与加算が適用される者

この加算ルールが適用される者は「相続、遺贈によって財産を得た者」です。

対象者の幅は広いです。

 

そのため、非課税の不動産や動産だけを得た人や、非課税の範囲で保険金・退職金等を得た人も当該ルールの対象者となります。

逆に、生前の贈与だけを受けており、相続・遺贈による財産取得がなかった人については適用がありません。

 

いつ贈与した分に加算されるのか

加算ルールが適用される範囲は非常に重要なポイントです。

生前贈与加算においては、相続が始まる前3年の贈与が対象です。

つまり、4年前や5年前に贈与をしていたのであれば、節税の効果が見込めます。

 

これだけ前の話であれば、死期を悟って急いで課税を免れるために対処したとは考えにくいですし、過去にさかのぼり過ぎると証拠の散逸により手続が煩雑になってしまうという問題も出てくるからです。

 

よって、相続税対策を取りたい方はかなり前もって、計画的に贈与を行う必要があるでしょう。なお、問題となるのは生前贈与加算だけではありませんので、贈与税やその他のルールも総合的に見ながら対処していく必要があります。

 

贈与税と同じ基準で計算するわけではない点、注意

贈与税は基礎控除額が110万円と定められており、年間この金額以下の贈与であれば基本的に課税はありません。

しかし生前贈与加算が適用されて相続税の計算に含まれる場合、たとえこの控除額以下の贈与であったとしても関係ありません。

 

このように、相続税の計算は複雑で、様々なルールを同時に考えなくてはなりません。不安があるという方は行政書士等の専門家に相談して対策を取るようにしましょう。