亡くなった人の財産を相続すると、相続した人には相続税がかかります。
相続税の負担は非常に大きなものとなるため、生前からその対策を行う方も大勢います。
ただ、実際にどのような財産に相続税が課され、あるいはどのような財産には相続税が課されないのかを詳しくは知らないと思います。
そこで、相続税の課税対象になる財産とならない財産について解説していきます。
相続税の課税対象となる財産
まずは、相続税の課税対象となる財産について解説します。
あらゆる財産が課税対象となりますが、相続税独自の考え方があるため注意が必要です。
現金・預貯金
預貯金は、銀行や郵便局などの金融機関に預け入れているお金です。
普通預金や定期預金などの種類がありますが、その種類に関係なく、すべての預貯金の残高が相続財産となります。
相続財産として課税されるのを避けるため、預貯金の一部を引き出しておくという人がいます。
しかし、預貯金から引き出しても、それは現金に形を変えただけであり、相続税の課税対象となります。
そのほか、いわゆるタンス預金と呼ばれる現金も相続財産として課税対象となるものです。
株式・投資信託・公社債
証券会社で購入した株式を保有していた場合、その株式は相続財産となります。
また、投資信託や公社債などの債権を保有していることも少なくありませんが、これらもすべて相続財産となります。
また、自身が中小企業の経営者である場合などは、経営する会社の株式を保有していると考えられます。
このような非上場株式も相続財産となるため、相続税評価額の計算を行い、相続税の計算に含めます。
不動産
被相続人が保有していた土地や建物などの不動産は相続財産となるため、相続税の課税対象となります。
また、他人の土地を借りて建物を建てた場合などは、保有している建物だけでなく、土地を借りる権利を借地権として評価します。
死亡保険金・死亡退職金
死亡保険金を保険会社から受け取ったとしても、その保険金は相続財産ではありません。
ただ、亡くなったことで受取人に金銭の授受が発生するため、相続財産とみなして相続税の課税対象となります。
死亡して退職したことを理由に支払われる退職金も、死亡保険金と同じく、厳密にいえば相続財産ではありません。
ただ、死亡したために発生すること、相続人が受け取るものであることから、相続税の課税対象に含まれます。
貸付金・未収金
他人にお金を貸していてまだ返してもらっていない場合、その貸付金が相続財産となります。
また、社会保険料の還付金や配当金の未収分などの金額がある場合は、その未収となっている金額が相続財産となります。
自動車
亡くなった人が保有していた自動車がある場合は、その自動車が相続財産となります。
その他の財産
ゴルフ会員権、金地金、絵画や骨董品などの美術品も相続財産となります。
また、家具や家電などの家庭用財産を一式として相続財産の額に含めることが、実務上は多くなっています。
亡くなる前3年以内に行った贈与
亡くなる前3年以内に贈与された財産については、相続財産の額に含めることとされています。
また、その財産を贈与した際に発生した贈与税については、相続税の額から控除することとされています。
名義預金
例えば親が子供の名前で作った預金口座は、形式的には相続財産でなくても、実際は亡くなった人の財産とみなされます。
このような預金口座を名義預金といい、亡くなった人の相続財産として相続税の課税対象となります。
相続税の課税対象とならない財産
ほとんどの財産は相続財産となりますが、被相続人が保有していた財産の中でも、相続税の課税対象にならないものがあります。
非課税財産と呼ばれるものには、以下のようなものがあります。
墓地、仏壇、仏具、神棚など
相続財産となるはずの現金を使って、お墓や仏壇・仏具などを購入すれば、相続税の節税につながる可能性があります。
ただし、購入した仏壇や仏具に骨董的な価値や貴金属としての価値など、投資目的と考えられる場合は非課税になりません。
死亡保険金のうち非課税枠内の金額
受け取った死亡保険金のうち、500万円×法定相続人の数で計算される金額は、相続税の課税対象にはなりません。
今回は、相続税の課税対象になる財産・ならない財産について見ていきました。
次回は相続税の計算方法をご紹介できればと思いますので、お楽しみに。