相続税を節税するのは簡単ではありません。ルールがたくさんありますし、複雑なものもあり、しかも、今回の相続だけを考えたのでは理想的な節税は果たせません。重要なのは2次相続まで考慮した対策を取ることです。ここでは2次相続において重要になる「相次相続控除」やその申告について解説します。
2次相続とは
まずは2次相続について説明しておきましょう。
2次相続とは相対的なものであり、親から子へ、その子からさらに子へ、という相続が続いた場合、最初の親から子への相続を1次相続とし、その次にさらに子へ起こる相続を2次相続と呼びます。
実際は、ここで「親から子へ」とした相続もそれ以前にさらにその親が存在しているため、「1次」や「2次」というのは、ある時点における相続に着目した場合の呼び方になります。
そして、1次や2次などとわざわざ前後を観念するのは、前回の相続の仕方が次回の相続税に大きく影響することに由来します。
例えば今発生している相続(1次相続とする)のみに着目して、最大限節税対策を施したとしても、その次の相続(2次相続)で大きく課税されてしまい、トータルあまり節税効果が狙えないということも起こり得ます。
相次相続控除の内容と控除割合
2次相続対策に関しては遺産分割協議や被相続人による遺言などでの対応が重要ですが、短いスパンで相続が続いた場合には「相次相続控除」が利用できることがありますので、これを忘れずに活用すべきでしょう。
これは、2次相続における被相続人が前回(1次で)納付した税額に関して、一定額の控除が受けられるという内容です。相次いで相続が発生すると、同じ財産に対して課税がなされるのと同等になり、二重課税に近い状態となるため、この制度が設けられています。
そこで、控除額は経過年数に応じて計算されます。
控除額は、1年ごとに10%ずつ減額され、前回から年数が経過するほど控除される額は小さくなっていきます。厳密に計算をするには、前回の課税額や取得財産の額、今回取得した財産の額などを整理しなくてはならず、複数の相続人がいる場合にはより計算は複雑になってきます。
いずれにしろ、経過年数が相次相続控除の額を大きく左右する要因です。10年が経過すると差し引くことができる額はゼロになります。
相次相続控除を受ける要件
要件は以下です。
- 前10年以内に1次相続が発生していること
- 被相続人に対して1次相続の課税がされていること
- 相続人が相続放棄や相続権の喪失をしていないこと
また、自動的に適用されるわけではありませんので、別途書類の作成をして申告しなければなりません。前回の課税に関する情報も必要ですので、1次における申告書控のコピーを添付します。