特殊な形状・状況の土地の相続税評価額と節税方法

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前回の記事では相続税の土地評価方法と計算方法について解説をしました。

 

今回は、特殊な形状・状況の土地の相続税評価額と、相続税の節税方法について見ていきたいと思います。

特殊な形状・状況の土地は補正が加わる

路線価方式で土地の相続税評価額を計算する場合、路線価と地積で評価額を求めることとなります。

 

しかし、同じ地積でもその土地の状況によって、利用価値が高い土地と低い土地があるのが実状です。

 

そこで、土地の形状や道路への面する状況に応じて、評価額に一定の補正を加えることとされています。
主な補正の種類をご紹介します。

 

不整形地補正

土地の形が長方形や正方形に近ければ、非常に使い勝手のいい土地といえます。

 

逆に、形がいびつだと実際には使えない部分が生じてしまい、実際の面積以下にしか利用することができません。

 

そのような、いびつな形の土地については、想定整形地に対するかげ地割合を計算し、それに応じて補正率を求めます

 

普通住宅地区にある土地の場合、補正率が最小で0.6となります。
つまり、元の評価額の6割程度にまで評価額が引き下げられる可能性があるということです。

 

不整形地補正率表(普通住宅地区の場合)

  500㎡未満 500㎡以上750㎡未満 750㎡以上
かげ地割合10%以上 0.98 0.99 0.99
15%以上 0.96 0.98 0.99
20%以上 0.94 0.97 0.98
25%以上 0.92 0.95 0.97
30%以上 0.9 0.93 0.96
35%以上 0.88 0.91 0.94
40%以上 0.85 0.88 0.92
55%以上 0.82 0.85 0.9
60%以上 0.79 0.82 0.87
65%以上 0.75 0.78 0.83

 

間口狭小補正

土地が道路と面する距離が間口距離となります。
この間口距離が極端に短い土地は使い勝手が悪く、利用方法にも制約を受けることとなります。

 

そこで、間口距離が短い土地については、補正率を乗じて、相続税評価額を減額することとされています。

 

たとえば、普通住宅地区で間口距離が5メートルの土地の場合、補正率は0.94とされています。

 

間口狭小補正率表(普通住宅地区の場合)

間口距離4m未満 0.9
4m以上6m未満 0.94
6m以上8m未満 0.97
8m以上 1.00(補正なし)

 

奥行長大補正

土地の奥行距離が間口距離に対して極端に長い土地は「ウナギの寝床」などと呼ばれます。

 

このような土地は、すべての土地を有効に利用しづらい状況にあると考えられます。

 

そこで、奥行距離を間口距離で除して大きな数値となる場合は、相続税評価額を減額することとされています。

 

たとえば、普通住宅地区で奥行距離÷間口距離が6以上である土地は、補正率が0.90となります。

 

奥行長大補正率表(普通住宅地区の場合)

奥行距離÷間口距離 2以上3未満 0.98
3以上4未満 0.96
4以上5未満 0.94
5以上6未満 0.92
6以上 0.9

参考元:国税庁

 

土地にかかる相続税の節税方法

土地を相続する場合、その相続税評価額は非常に大きな金額となるため、相続税の負担も大きくなります。

 

そこで、相続税の計算をする際にできる節税の方法を検討すべきです。
どのような節税方法があるのか、ご紹介していきます。

 

小規模宅地等の特例を利用する

小規模宅地等の特例は、土地の相続をする際に、最も多くの人が利用できる可能性のある節税方法です。

 

被相続人が住んでいた自宅の土地を相続する際、最大で330㎡までの土地について、その評価額を80%減額できるものです。

 

あくまでも土地の面積とその割合が定められているだけであり、金額についての上限はありません。

 

そのため、5億円の土地を相続して4億円の評価額が減少するということもあるのです。

 

適用にあたっては様々な要件があるため、誰が相続するのかも含めて、慎重に検討する必要があります。

 

地積規模の大きな宅地の評価を利用する

大きな土地を相続すると、その分相続税評価額も高額になり、相続税の額も大きくなります。

 

そこで忘れずに適用を受けたいのが、地積規模の大きな宅地の評価です。

 

三大都市圏では500㎡、それ以外の地域では1,000㎡を超える土地を相続する場合に適用を受ける可能性があります。

 

地積が大きくなるほど、その減額の効果も大きくなるため、まずは適用を受けられるか検討するようにしましょう。

 

不動産鑑定による鑑定を行う

形がいびつな土地や間口距離、奥行距離の影響で使いづらい土地の場合、補正率を使って減額することができます。

 

しかし、その土地が特殊な事情を抱えている場合には、補正率だけでは正しい評価を行っているとはいえません。

そこで、不動産鑑定士に評価を依頼するのも1つの方法です。

 

路線価方式や倍率方式では正しく評価できない場合、不動産鑑定を依頼し、特殊な事情を加味した評価額を計算してもらいましょう。

 

参考元:国税庁 

 

相続財産のうちに占める土地の割合は、高くなるケースが多いといえます。
一方で、土地の相続税評価額の計算は簡単ではないことから、相続が発生して初めてその金額を知るというケースも少なくありません。

 

相続税対策や節税なども考えて、土地の相続税評価額がどれくらいになるのかを事前に計算してみるのは非常に重要なことです。

また、相続税評価額を減額するような補正計算や特例の適用も忘れずに行いましょう。