未成年が財産を引き継ぐ場合は必見!未成年者控除と相続税の話

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いつ相続は開始されるか分かりません。そうすると、未成年の子どもが相続人になることも珍しくありません。また、未成年の者に対して遺言で財産を渡すということも起こり得ます。

このとき、場合によっては相続税が発生するのですが、ぜひ知っておきたい「未成年者控除」というものがあります。以下でその内容を解説していきます。

 

未成年者控除とは

未成年者控除とは、未成年の者だけに適用される控除のことで、相続税の計算において一定額を差し引くことができるというものです。

ただし、財産を取得する者が未成年者でさえあれば常にこの控除が受けられるというわけではありませんので、注意しましょう。

以下で挙げる条件を満たした者でなければなりません。

 

未成年者控除を受ける条件

控除を適用させるためには、以下の要件すべてを満たさなければなりません。

  1. 財産の取得時、住所が日本国内であること
  2. 財産の取得時、20歳未満であること
  3. 財産を取得した者が、法定相続人であること

 

1に関してですが、財産を得た者が一時的に国内居住をしており、さらに被相続人も一時的に国内居住しているケースなどではこの要件を満たしません。

なお、取得時に国内に住所がない者でも、「日本国籍を持つ」かつ「前10年以内に日本で住所を持っていた」のであれば認められます。他にも細かく要件が設定されていますので、日本国籍の有無や前10年に日本に住所を持っていない人などはよくチェックする必要があるでしょう。

 

未成年者控除の計算・控除額

具体的に差し引きできる金額は、年齢によって変わります。

下の計算式に従って算定されるため、20歳から離れるほど、幼いほどその額は大きくなります。 

  控除額 = (20歳 - 年齢)×10万円

 そのため、19歳であれば10万円、10歳であれば100万円、5歳なら150万円ということになります。

 

なお、年数の計算にあたっては1年未満の端数は切り上げて考えます。

例)年齢19歳7ヶ月なら、19歳で計算し、控除が受けられる

 

扶養義務者も恩恵を受けられる

算定した額が未成年者本人の相続税額より大きくなった場合、控除の全額を引ききれません。そのときには、当該未成年者の「扶養義務者」の相続税額からも控除が可能です。

扶養義務者とは、配偶者や親、兄弟姉妹などのほか、叔父や叔母などといった3親等内の親族も含みます。これらの肩書であれば常に該当するわけではありませんが、少なくともこれらの親族であり、扶養の義務が課せられている者でなくてはなりません。