相続が発生した場合、どんなときにどんな専門家を頼ればいい?

相続でよく聞かれることととして、「相続についていろいろ悩みがあるんだけど、誰に相談していいかわからない」という話を聞くことがあります。

 

確かに、広告などで「相続手続のお手伝いをします」という宣伝なども見かけます。

 

ただ、状況や困りごとに応じて、どこに頼むか、どんな専門家へ依頼するかというのはよく考える必要があります。

 

今回は、相続に関わる専門家と、どういう時に依頼をすればいいのかについて述べていきたいと思います。

 

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土地家屋などの名義変更が発生する場合は司法書士に依頼

多くのケースでは、現金・預金などだけでなく、土地家屋の相続も行うことがあるかと思います。

 

土地や家屋の名義変更を行う上では、「司法書士」に手続きを依頼する必要があります。(相続人が行うことも不可能ではないですが、手間がかかります)

 

相続人間で特にもめることもなく、現預金も少ない、地方なので土地・家屋の相続税もかからないという場合は、司法書士に名義変更を依頼する事が望ましいでしょう。

 

相続税の発生が想定されるケースなどでは税理士に依頼

少し前までは、相続税の計算基準が5,000万円+1,000万円×法定相続人の数だったため、ある程度の資産がある家庭が相続税の対象となっていました。

 

しかし現在は、相続税の基礎控除額3,000万円+600万円×法定相続人の数となっています。最低でも6,000万円だった相続税のかかる基準が、最低でも3,600万円とかなり引き下げられました。

 

一定の財産があったり、首都圏や地方都市に自宅などがある場合は、多くのケースで相続税の対象となる可能性があると考えた方がよいでしょう。

 

相続税の計算については、非常に慎重さを要する手続きです。手続きや書類作成・記載内容に漏れがあると、後でトラブルの原因になります。

 

また、骨董品やコレクションなど「これは申告しないでも良いだろう」と、相続人が主観的な判断で考えると、申告漏れなどトラブルに繋がる場合もあります。

 

税理士事務所・税理士法人の場合、多くの相続のケースを手がけていますので、相続において申告すべき事や相続税の計算、手続き、「非課税財産」という申告しなくてもよい財産など、様々な観点から、「適切な相続税の申告」をサポートしてくれます。

 

特に財産面で、相続税の課税対象になるかどうかが微妙な場合は、税理士に事前相談し、「相続税がかかる可能性がある」「相続税がかかる」というケースの場合には、相続税申告手続きの代行をお願いする事が大切です。

 

また、税理士事務所・税理士法人の場合、他の専門家とのネットワークも充実しています。

 

後ほど述べる相続手続きの代行業者と同様、相続全体の窓口として、相続税以外の手続きをまとめて行ってくれる事務所も存在します。

 

相続人間で争いがある場合は弁護士

相続の割合や遺言書の内容に納得しない相続人がいるケースなどは、弁護士に依頼することを視野に入れる必要があります。

 

財産分与の割合などに関しては、相続人同士で話しても、いろいろな感情などもまじってまとまらないケースも想定されます。

 

まず弁護士を代理人として立てて、納得しない相続人と交渉します。

それでも相続人が納得しなければ、

  1. 家庭裁判所を通した遺産分割調停手続
  2. 家庭裁判所での遺産分割審判の申立

という形で手続きが進んでいくことになります。

 

いずれにせよ、弁護士費用も含め、手続きが増えるほど時間とコストがかかりますので、一定の妥協点を設けておくことが望ましいと言えます。

 

相続代行手続きを行う会社・事務所・信託銀行

相続手続きの代行を行う会社や事務所も、近年は増えてきました。

 

相続にかかるサービスをワンストップで行ってくれるのが強みです。必要に応じて、税理士・司法書士などの専門家へ手続きを依頼したりしてくれるので、一度お任せすれば、後は指示に従って書類を集めるだけと言う形で、手続きの簡略化を図ってくれます。

 

ただし、費用に幅があることと、代行を依頼する事業者が、様々な意味で信頼できるかは念頭に置いた方がよいでしょう。

 

以上、相続手続きに関与する専門家・事業者などについてまとめました。

 

相続手続きは、複雑かつセンシティブな内容を扱うものです。依頼先に関しては、最初の相談などでしっかりと話を聞き、信頼できるかを含めて考えていく必要があると言えましょう。